1999 Fiscal Year Annual Research Report
全国方言地図と文献との対照による助詞・助動詞の発達・伝播に関する研究
Project/Area Number |
10610415
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
彦坂 佳宣 立命館大学, 文学部, 教授 (00111237)
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Keywords | 活用体系 / 九州 / 推量・意志 / 理由 / 格助詞 / 方言文法全国地図 / 方言分布 |
Research Abstract |
1、活用事象(昨年分の引継ぎ) 活用体系の分布は、東部日本に対し西部は体系がやや複雑であり、国語史での変化の模様に対応して、東部は今日的な模様、近畿から中国・四国は近世的な模様があるが、九州はやや特異な点がある。ナ変が五段化し、下ニ段が保有される点は国語史での推移順と逆であり、一段・上二段の五段化が盛んな点は国語史になかった点である。その特異さは、内破音・特有の命令形や意志形とその分布などに起因することを考察した。今後は東西のいわゆる外輪地域の特色を考え、国語史との対照を深めていきたい。 2、助動詞・助詞事象 助動詞では、推量・意志の助動詞を中心に継続した。中央部では中世以降の国語史の形式や機能分担がよく反映されているが、周辺部では古いが地域特有の歴史的変遷のあることが推測された。 断定の言い方も考察した。中世末の国語史での模様が今日広く展開しているが、方言文献でのデァを中心に地図ではかくれてしまった形式がある。分布での考察のおおよそは周圏論敵な解釈ができるものの、細部の形式を史的展開の中に位置付けることは難しい点があると感じている。 助詞では理由の言い方の各種形式の考察を改めて行った。北陸から日本海側東北への新形式の伝播は指摘されているが、分布解釈に問題の残るサカイ・デ・ニ・カラなどの考察を進め、カラなどは地域ごとの発達もあるかと考えるに至った。また、主格・目的格の助詞も考察しているが、あまり進んでいない、東北の無助詞はやはり古代の中央語の反映ではないかと考えている。
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