1999 Fiscal Year Annual Research Report
初期歌舞伎と沖縄の組踊-大名屋敷における歌舞伎上演を回路として-
Project/Area Number |
10610437
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
武井 協三 国文学研究資料館, 研究情報部, 教授 (60105567)
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Keywords | 初期歌舞伎 / 若衆歌舞伎 / 野郎歌舞伎 / 沖縄芸能 / 組踊 / 大名屋敷 / 江戸藩邸 / 座敷芝居 |
Research Abstract |
1.2回にわたり弘前市立図書を訪館し『弘前藩庁日記』江戸日記享保期前半の調査を行った。ただし、当初予定していた享保前期(1716年〜1720年)130冊は、難読部分が多く、80冊の調査にとどまった。この80冊分については歌舞伎・浄瑠璃関係記事を抽出し、補助者(アルバイト)による下翻刻を終えた。 2.3回にわたり沖縄県立芸術大学に出張し、組踊の実演に立ち会い衣装・道具類の調査を実施した。また、現地の写真家大城弘明氏と連絡をとり、組踊の舞台写真収蔵状況を調査した。 3.上記の結果を統合して両者の関係を明らかにするため、以下の点について既発表の論文(『歌舞伎-研究と批評-』20号所収「若衆歌舞伎・野郎歌舞伎と沖縄の組踊」)に補筆を加え、論文集『若衆歌舞伎・野郎歌舞伎の研究』(平成12年3月、八木書店)に収録して刊行した。 (1)古典文庫『未刊謡曲集』には「金玉羽衣」「初瀬物狂」を所収しており、組踊「銘苅子」女物狂」との影響関係を考えねばならないが、これは歌舞伎との関係より色濃いものとは考えられない。 (2)『那覇市史』を調査することによって、宝永7年の玉城朝薫らの琉球使節が、江戸の薩摩屋敷で歌舞伎・浄瑠璃の観劇を行っていることが、明確になった。 (3)姫路市立図書館蔵『重朗日記抜粋』を調査することによって、酒井雅楽頭が江戸屋敷に「琉球の楽人」呼んで芸能を演奏させていることが明らかになった。
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