1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610447
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 守 日本大学, 文理学部, 教授 (70210375)
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Keywords | 中国 / 近代化 / キリスト教 / 老舎 |
Research Abstract |
本年予定していた資料調査に関して、まずIda Pruitt Papers整理作業は、アメリカにおける共同研究者のMarjorie King博士と共同で8月下旬から9月上旬にかけて、Arizona,Tucsonにて最終整理を終え、すでに資料の大半をArthur and Elizabeth Schlesinger Library for the History of Women in America,Radcliffe College,Harvard Universityに寄贈して一般公開を待つ状態にある。同資料のほとんどはIda Pruittと彼女の両親の残したニュース・クリッピング、アニュアル・レポート、書簡、未発表原稿、写真などからなっているが、両親が残してIda Pruittが保存した、19世紀後半の中国・山東におけるアメリカ人宣教師の活動記録は、近代以前の中国社会・文化を同時代アメリカ人が、特にキリスト教的世界観からどのように見て評価したかを検証する貴重な資料となっている。一部はChina Recordsにも掲載されているが、未発表のものも多くあり、書簡と共に貴重な一次資料と言える。Ida Pruittのアメリカ帰国後の資料については、Indusco関係資料はすでにNew York Public LibraryとColumbia University Libraryにそれぞれ収められているが、今回の資料整理で1946-49年の老舎との『四世同堂』共同英訳作業に関する書簡が発見できたことで、従来現代中国文学研究者にとって不明のままであった英訳作業の実態と老舎の原稿執筆の経緯がかなり明らかとなった。その成果の一部は99年2月に北京で開催された『紀念老舎先生誕生100周年国際学術研討会』ですでに研究発表済みである。またIda Pruitt研究のアメリカにおける第一人者であるMarjorie King博士からは99年2月に、中国における清末キリスト教伝導事業の部分に限ってレヴューを受けている。次年度は清末から民国初期へと少し時間軸を移して研究を進め、Ida Pruittの伝記の一部を完成させたい。
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