1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10610453
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 捷 東北大学, 文学部, 教授 (20004088)
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Keywords | 発話行為動詞 / 推論規則 / MOOD(法) |
Research Abstract |
(1) 目的:補文をとる動詞にはV-NP-to-VPの構造に生じるものがある。これらの動詞は一定の基準に基づいて、want、persuade、believeの三つのタイプに分類される。しかしこれらの基準を発話行為動詞であるallow、permit、force、orderなどに適用すると矛盾する結果が得られる。これらの問題点は、これらの動詞をECMタイプと分析し、意味特性を一定の推論規則によって説明することにより解決される。また、allow/permitを意味上mayの使役形と分析し、force/orderを意味上mustの使役形であるとする分析を提案する。 (2) 提案内容:allow、force、orderの三つの動詞は、それぞれ、許可、強制、命令などの異なる意味を持つが、意味構造としては次のような共通の構造をもっている。 (i) x[CAUSE[MOOD(EVENT)] すなわち、これらの動詞は法要素を含む使役の意味構造を共有しており、それぞれの意味の相違は、法要素の内容によって決定される。統語上はECM補文をとり(ただし、補文標識toは法を表す要素である)、その場合、許可の受け手、強制の対象、命令の受け手の解釈は、これらの発話行為動詞一般に適用される推論規則によって決定されるのであって、persuadeのように統語上主節の目的語として分析されるのではない。 (3) 結論:推論規則は、(i)のMOOD節の主語が無生名詞であるときには、文脈からその内容の受け手を推論する。主語が有生名詞である時には、文脈に基づいて主語が内容の受け手と認定される場合とそれ以外の人が命令の受け手と認定される場合がある。この推論規則は命令文にも適用され、命令文では、主語が(通例省略される)you以外の人である場合、推論規則はその人をyouのコントロール下にある命令の実際の受け手であると推論する。このように、推論規則は一般性の高い規則である。
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