2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610453
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 捷 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20004088)
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Keywords | 語彙意味論 / 補文動詞 / 叙実動詞 / 推論規則 |
Research Abstract |
1.補文動詞の意味構造と補文の形式との間に相関関係があると考え、動詞の実質的(substantive)意味内容の分析から補文の形式を予測できるかどうかの問題を扱った。すなわち、補文をとる動詞(以下、補文動詞という)とその補文の統語的・意味的関係について、補文動詞の意味構造から、補文として時制節、不定詞節のいずれをとるかが予測可能であるかどうかを検討し、動詞の意味構造と補文選択の間に一定の関係があることを明らかにした。また、真の叙実動詞と半叙実動詞の相違をこれらの動詞の意味構造上の相違の帰結として説明することを試みた。 2.不定詞補文をとる動詞にはV-NP-to-VPの構造に生じるものがある。これらの動詞は一定の基準に基づいて、want、persuade、believeの三つのタイプに分類される。しかしこれらの基準をallow、permit、force、orderなどの動詞に適用すると矛盾する結果が得られる。この問題点は、これらの動詞をECMタイプと分析し、意味特性を一定の推論規則によって説明することにより解決される。また、allow/permitを意味上mayの使役形と分析し、force/orderを意味上mustの使役形であるとする分析を提案した。 3.意味には、統語論と深く関わっているもの、純粋に意味的なもの、語用論と深い関わりのあるもの等々、様々の側面があり、それに応じて様々な意味論がある。記号と記号外の世界との関係を記述することを目的とした形式意味論、我々の認知作用の結果構築される概念体系に基づく認知意味論、意味要素の組み合わせによって述語の意味を規定する語彙意味論、統語論と深い関わりを持つ生成文法の論理形式に基づく意味論、および論理形式と意味のインターフェイスに関わる理論等々がある。これらの概要を説明し、歴史的意義付けをした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 中村捷: "補文動詞の意味構造"言語の内在と外在. 119-159 (1998)
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[Publications] 中村捷: "英語の不定詞補文動詞の意味構造と推論規則"ことばの核と周縁-日本語と英語の間. 287-320 (1999)
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[Publications] Masaru Nakamura: "A Strong Thesis of the Computational Component"Explorations in English Linguistics. 15. 1-46 (2000)
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[Publications] 中村捷: "意味の仕組み"ことばの仕組みを探る. 111-163
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[Publications] 中村捷,平野日出征(編): "言語の内在と外在"東北大学文学部. 402 (1998)
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[Publications] 黒田成幸,中村捷(編): "ことばの核と周縁-日本語と英語の間"くろしお出版. 420 (1999)
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[Publications] 原口庄輔,中島平三,中村捷,河上誓作: "ことばの仕組みを探る-生成文法と認知文法-"研究社出版. 230 (2000)