2000 Fiscal Year Annual Research Report
自他の交替と述語の事象構造の構成(Composifionality)
Project/Area Number |
10610455
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
丸田 忠雄 山形大学, 人文学部, 教授 (10115074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 英一郎 鶴岡工業高等専門学校, 講師 (40227195)
小野 尚之 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (50214185)
須賀 一好 山形大学, 教育学部, 教授 (90154434)
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Keywords | 自他交替 / 使役起動交替 / 事象構造 / Pocket動詞 / アスペクト / オンセット使役 / 同延使役 |
Research Abstract |
1970年代の生成意味論に始まる語彙意味論の伝統では、動詞などの述語の意味はさらに成分分析を受け、同種の述語類に共有される基本的な意味成分と、個別述語に特有の独自の意味成分よりなると分析され、さらに、とくに前者が当該述語の統語的振る舞いを決定づけるとされる。本研究計画は、主に使役動詞と意味的・形態的に相関する自動詞を取り上げ、それらの意味を語彙概念構造、事象構造によって捉え、このような語彙意味論の考えを主に日英語の使役交替現象に用いたものである。使役交替とは、「戸を開ける/戸が開く」、John opened the door./The door opened.のような自他の構文交替をいう。語彙意味論ではこれらの交替は、語彙意味レベルでの操作により、2つの規則で関連付けられた語彙意味表示が定義されることにより説明された。語彙意味論、事象意味論の観点から、基本的に日英両語とも、使役の性質(オンセット的か同延的)が交替の可否に重要に関わっていることが明らかにされた。また、概念構造の複合による多義性や語彙拡張の説明、動詞の使役性とアスペクト的意味の連関、アスぺクト関連諸統語要素の出現等を語彙意味や事象の規則的な結合に基づき検討した。さらに、動詞が選択するNPの指示物や付加詞の意味によって動詞意味が変動する場合があり、動詞語彙意味だけで文の統語構造を決定するとする強い語彙意味論の立場がそのままでは成立しないことが明らかとなり、開放的な語彙部門の可能性が展望された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 須賀一好: "日本語文法と日本語教育と国語科教育と"日本語学. 20卷3号. (2001)
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[Publications] 丸田忠雄,平田一郎: "語彙範疇(II)-名詞、形容詞、前置詞"研究社. 200 (2002)