1998 Fiscal Year Annual Research Report
セクシュアリティの理論構築およびその文学/映像表象の実証研究
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10610463
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
竹村 和子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 文部教官 助教授 (10155046)
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Keywords | セクシュアリティ / ジェンダー / フェミニズム / 文学 / 映像表象 / 文学理論 / 文化研究(カルチュラル・スタディーズ) |
Research Abstract |
本年度の成果は、以下の6点である。 1. セクシュアリティ/ジェンダー研究とポストコロニアリズムの接点の追求。 お茶の水女子大学に客員教授として招聘したトリン・T・ミンハに密着し、上記のテーマにそって共同セミナーや対談をおこなった(研究発表とした載せた対談以外にも、『思想』誌上で対談を発表予定)。ジェンダーとポストコロニアリズムの接続地点についてはトリンは明快であるが、セクシュアリティについては、理論/表象の両面において、彼女の業績には限界がみられる。精神性の審美化を避けて、解釈共同体としてどう理論づけるかが、わたし自身の今後の課題であることをあらためて確認した。 2. セクシュアリティ研究を精神分析の批判的考察によって、解明しようとした。 『思想』誌上に発表した「愛について」は、現在のセクシュアリティ研究を、異性愛の心的構造にふみこんで分析しようとしたものである。 3. 『ジェンダー・トラブル』の邦訳完成 この著作は非常に難解だと評されているが、できるだけ原著に接近しながら、その趣旨を明晰に解釈して訳出することを心がけた。訳書ではあるが、わたし自身の研究に重要な位置をしめる仕事だと位置づけている。 4. 映画および小説における表象の分析をおこない、共編著図書および雑誌に発表した。 また上野千鶴子さんとの対談で、セクシュアリティ研究を位置づけ、公表した。 5. 先行研究がほとんど皆無の領域なので、研究書を積極的、精力的に調査し、購入した。 6. トリンとの共同セミナーのため(5-9月)、ニューヨークでの資料収拾は次年度以降に延期せざるをえなかったが、12月にサンフランシスコで開催されたMLAに参加した。
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[Publications] 竹村 和子: "愛について" 思想. 886. 5-33 (1998)
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[Publications] 竹村 和子: "別れる理由,あるいは別離という生-シリーズとしてのレズビアン・パルプフィクション" 國文学. 44巻1号. 28-35 (1999)
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[Publications] 竹村和子/トリン・T・ミンハ: "リズムの扉-イメージとジェンダー/セクシュアリティ" 『イメージ・フォーラム』. 187. 14-29 (1999)
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[Publications] 竹村和子/上野千鶴子: "ジェンダー・トラブル" 現代思想. 27巻1号. 44-77 (1999)
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[Publications] 竹村 和子: "アメリカ文学に<母>を探そう" 英語教育. 47巻2号. 26-27 (1999)
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[Publications] 竹村 和子 kazuko Takemura: "The Development of Source Soudies" Newsletter.NHSJ. No.17. 8-9 (1999)
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[Publications] (訳者)竹村和子/(著者ジュディス・パトラー): "『ジェンダー・トラブル-フェミニズムとアイデンティティの乱」3/25発行予定" 青土社, 280(予定) (1999)
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[Publications] (編著者)竹村 和子・海老松静枝: "『女というイデオロギー-アメリカ文学を検証する』" 南雲堂, 314 (1999)