1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610487
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大木 充 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60129947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東郷 雄二 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10135486)
|
Keywords | 談話 / 名詞句 / 指示性 / 照応 / 属格のen / 談話モデル / 同定 |
Research Abstract |
1.属格のenの生起と名詞句の指示性(大木担当) 今回研究の対象としたのは Je me dirigeai vers sa chambre (N1) et en ovris la porte(N2).のような文である.このような文について書き言葉と話し言葉のフランス語のコーパスを用いた考察から次のことが明らかになった. (1)N1,N2の個体性が高く、連想照応するためのN1とN2の意味的関連性が高い場合には、enは用いられない.この事実から、このような場合にはN2の指示対象は十分に確立していると言える. (2)N1の個体性が高く、N2の個体性が低い場合でも、連想照応が成り立てば、enは用いられない。この事実から,この場合もN2の指示対象は十分に確立していると言える. (3)N1,N2の個体性がともに低いときには、en が用いられる.この事実から,このような場合には,N2の指示対象は十分に確立していないと言える. 2.談話における指示対象の確立と同定(東郷担当) 「共有知識領域」「発話状況領域」「言語文脈領域」3つの心的領域からなるの談話モデルに基づいて、主に指示対象の同定のメカニズムについて考察をした.指示対象の同定の深度を決定するのは次の3つの要因であることが明らかになった:(1)指示対象固有の性質 (2)話し手と聞き手のあいだでの談話モデルの共有度 (3)指示対象が談話のなかで果たす役割
|