1999 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語圏の現代演劇におけるパラダイム・チェンジに関する研究
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10610492
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鷲山 道子 (谷川 道子) 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (50038501)
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Keywords | ドイツ現代演劇 / パラダイム・チェンジ / ベルトルト・ブレヒト / ハイナー・ミュラー / ピナ・バウシュ / 文化受容 |
Research Abstract |
最終年度の二年目は、演劇と研究の現場への多様な協力と、研究成果をまとめることが中心課題となった。 1、昨年のブレヒト生誕百年の流れで、春には拙訳による世田谷パブリックシアターでの宮崎真子演出による『改作アンティゴネ』と松本修演出による『ガリレオの生涯』が上演。秋には拙著をもとにした斎藤憐作、佐藤信演出、村井国夫・鳳蘭主演の『ブレヒト・オペラ』が新国立劇場から全国に巡演。上演への協力とその他のブレヒト上演も含めていくつかのパンフなどに原稿を執筆。今年はまたピナ・バウシュの「ヴッパタール舞踊団」芸術監督就任25周年にもあたっていて、来日公演にあわせてヨッヘン・シュミットの"Pina Bausch--Tanz geg en die Angst"の翻訳『ピナ・バウシューー怖がらずに踊ってごらん』をフィルムアート社から刊行、巻末に解説として論文「ピナ・バウシュの<タンツ・テアター>」を掲載。関連原稿も雑誌などにいくつか執筆した。 2、4〜6月に静岡で開催された「第二回シアター・オリンピックス」ではハイナー・ミュラー関係の企画に協力。シュトルヒ企画・構成の写真展「ハイナー・ミュラー劇場」のテクストや資料、パンフレットの翻訳、対談ビデオの翻訳・日本語録音。シンポジウム「ギリシア神話とハイナー・ミュラー」での司会と報告。これも静岡新聞や学会誌などに関連記事を掲載。その記録集『第2回シアター・オリンピックス公式記録』や『シンポジウム・21世紀を読む』の刊行にも協力。3月にはパリでのハイナー・ミュラー国際シンポに参加して発表。 3、日本独文学会の編集委員としてドイツ現代演劇特集の企画を担当した学会誌「ドイツ文学」103号が、特集依頼論文の11本、「日本におけるハイナー・ミュラー受容」の書誌やマルジナリア欄も含めてすべて揃って、何とか無事に刊行。学会員以外の多くの演劇研究者などにも送付して好評だった。また我が東京外国語大学の総合文化研究所が97〜98年度に行なった公開講座をもとに大修館から『翻訳百年』が刊行され、そのなかでブレヒトやミュラーを中心に日本でのドイツ演劇の受容についての原稿を執筆した。 4、今年度の課題である自らの研究上の成果をまとめる作業は鋭意進行中で、今年中にはブレヒトやミュラーに関しての著作がまとめられ、上梓できることと思う。この科研費を助成されたことに心から感謝している。
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[Publications] 谷川(鷲山)道子: "風の亡命者たち.風の恋人たち.風の創造者たち"斎藤憐作、佐藤信演出、『ブレヒト・オペラ』上演パンフ. 14-17 (1999)
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[Publications] 谷川 道子: "ブレヒト・ワールドの虚実皮膜と戯れる面白さ"プレヒト『セチュアンの善人』上演パンフ(新国立劇場). 28-29 (1999)
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[Publications] 谷川 道子: "堕天使の娘フライサーとブレヒトの女性秘書ハウプトマン"早稲田大学科研書論集「20世紀ドイツ文学をめぐる***論*考察」. 56-83 (2000)
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[Publications] 谷川 道子: "シアター・オリンピックスは平年紀をどうよぎるのか"日本独文学会編「ドイツ文学」103号. 103号. 183-185 (1999)
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[Publications] 谷川 道子: "<翻訳劇>,<翻訳>,<劇>-ドイツ演劇の視角から考えたこと"小学館発行、日本劇作家協会編「せりふの時代」. 13号. 90-93 (1999)
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[Publications] シンポ記録(谷川、テルゾポロス.ティーヌ.レーマン): "ギリシア神話とハイナー・ミュラー"静岡新聞社刊『シンポジウム・21世紀を読む』. 205-232 (2000)
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[Publications] 谷川 道子(共著): "『翻訳百年-外国文学と日本の近代』"大修館書店(原卓也・西永良成 編集). 300 (2000)
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[Publications] ヨッヘン・シュミット著(谷川道子訳 解説): "ピナ・バウシュ-怖がらずに踊ってごらん"フィルムアート社. 246 (1999)