1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 仁 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (70243128)
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Keywords | 社会言語学 / 対照言語学 / 評価概念 / 言語行動 / 敬語 / 談話分析 |
Research Abstract |
本研究「日独言語行動の対照社会言語学的考察」では,既にドイツで実施した調査で得たデータをすべて文字化し,音声上の特徴を転写した.また,日本のいくつかの地域で,ドイツの調査と同じ枠組みで調査を実施し,日本語のデータを得てドイツ語と日本語によるコミュニケーションの異同を分析した.1999年9月の末に渡独し,フランクフルトで開催された第30回応用言語学会でこの研究成果の一部を発表した.すなわち,日本語とドイツ語のコミュニケーションは,両者ともにブラウンとレヴィンソンのいうジョークなどのいわゆるポジティブポライトネスが調査者によって「丁寧」と評価されたこと,方言の要素を含む表現が必ずしも「丁寧」であることを損なわないことなどを述べた.この内容はドイツでも評価され,本研究のテーマと密接な関係のある「敬語の文体(Hoflichkeitsstile)」と題する論文集の一つとして掲載されることになった. また,本研究の論理的枠組みについては,「批判的社会言語学-『正しさ』に対する問い」(仮題)という日本語の論文集の一つの論文として出版される予定になっている.これは,おもに日本語とドイツ語の敬語の比較対照の可能性,および日本の敬語研究にみられるいくつかの問題点を論じたものである.ここでは,本研究の調査結果をふまえ,日本の敬語研究にも,言語がたんに社会的・心理的関係を静的に反映するにとどまらず,人間関係を構築するダイナミックな機能があることを考慮する必要がある点を示唆した. 他方,本研究で予定していた評価概念に関する意識調査,すなわち当該社会でいかなる評価概念が重要視されているかを解明するための意識調査は,実施することができなかった.今後調査の実施に協力してくれる方を探し,改めて実施していくつもりである.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Heinz-Helmut Luger他: "CCC-Sammelband Hoflichkeitsstile"(2000)
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[Publications] 山下 仁,野呂香代子 他: "批判的社会言語学-「正しさ」に対する問い」(仮説)"三元社. (2000)