1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10610513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東郷 雄二 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10135486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 充 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60129947)
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Keywords | 談話 / 照応 / 指示 |
Research Abstract |
今年度の目標は、フランス語会話コーパスの構築と、その分析にあたっての予備的作業であった。今年度は主として、映画や演劇のシナリオ・漫画・会話体の小説など、文字に書かれたフランス語のコーパス化を推進した。研究補助金で購入したパソコンを用いて、OCR(光学文字読みとり装置)で内容を読みとり、手作業で修正して、パソコンにファイルとして蓄積した。 これと平行して、研究課題である談話処理における照応過程に関する内外の研究論文を調査するとともに、現在手持ちの会話フランス語のコーパスを、どのような角度から分析するかについての、予備的調査を行った。 この内容をもとにして、平成10年5月30日に成城大学で開催された日本フランス語学会例会において、「談話モデルと指示-指示対象はいかに確立されるか」と題して研究発表を行った。この過程で得られた知見は次のようにまとめることができる。談話における照応過程は、単に言語形式として観察された代名詞や確定記述などの照応表現の観察だけではその本質を解明することはできない。談話とは話し手と聞き手とが、時系列に沿って、相互作用として構築する心的実体であるとの認識から出発し、話し手と聞き手の双方が持つ談話モデルという心的構築物を想定しなければならない。今後はこのようなモデルに基づいて、談話における照応過程の研究を遂行する。
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