2000 Fiscal Year Annual Research Report
見せかけ目的語構文における統語論と意味論の結びつきに関する研究
Project/Area Number |
10610516
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 和子 広島大学, 総合科学部, 教授 (00144890)
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Keywords | 見せかけ目的語 / 結果述語構文 / Way構文 / 使役の連鎖 / 語彙概念構造 / 統語構造 / 写像 |
Research Abstract |
本年度は,本研究の最終年度として,次の諸点の考察を中心に行った:(i)見せかけ目的語をとる結果構文とWay構文を分かつ特徴は何か;(ii)Way構文には,Meansとしての読みとMannerとしての読みの両方があるといわれるが,その違いはどこから来るのか;(iii)以上二つの問題と関連して,本研究代表者が採用する'causa1 chain'の概念を採り入れた概念構造モデルでは,Instrument/Means/Mannerは中間的な'causal chain'をなすと仮定されているが,もしそうだとすれば,この三者はどのような特徴によって,区別されるのか。 (i)に関しては,以下のような結論に達した。両構文ともに共通して,概念構造(CS)で合成されたものである。違いは,結果構文の方が,Meansを表すCAUSE-開数構造とCaused-Motionを表すCSとの合成であるのに対し,Way構文の方は,Meansを表すCAUSE-関数構造と'make one's way PP'を表すCSとの合成である。 (ii)に関しては,以下のような結論を得た。Meansとしての読みは,上記で述べた通りであるが,Mannerとしての読みは,MANNERの関数構造とMotion構文のCSとの合成である。この違いから,前者の読みでは,主語で表されるものが,外的困難さにもかかわらず移動したとの含みをもつのに対し,後者の読みではその含みはもたない,と言える。 (iii)に関しては,次のような考察に達した。まず,Instrumentは非節構造(non-clausal structure)であるのに対し,MeansおよびMannerは節構造(clausal structure)を成している。さらに,MeansとMannerを分かつのは,前者がEventの節構造であるのに対し,後者はStateの節構造であるということである。
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Research Products
(1 results)