1998 Fiscal Year Annual Research Report
|普遍的|言語運用モデルの構築 -日本語・中国語からの貢献-
Project/Area Number |
10610519
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
岡本 能里子 東京国際大学, 教養学部, 助教授 (20275811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彭 国躍 神奈川大学, 外国語学部, 助教授 (00298374)
井出 祥子 日本女子大学, 文学部, 教授 (60060662)
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Keywords | 普遍的言語運用モデル / 指標的意味 / 社会文化的価値観 / 関係性 / 自己のアンデンティティー / 待遇行動 / 価値づけ / 視点移動 |
Research Abstract |
本研究は,これまで言語の指示的意味に重点が置かれ普遍的とされてきた欧米主導の言語運用理論を,自己と他者との関係性を示すなどの言外の意味である,言語の指標的意味に注目することで東南アジアの言語文化圏の観点から修正を加え,新たな[普遍的],言語運用モデル構築のための基礎資料作成と理論的考察を行うことが目的である。 初年度は,まず目に見える言語運用や言語形式などの言語事象のミクロレベルでの違いを取り出すのではなく,ミクロ事象を眺める社会文化的価値観世界観自体が異なるということを実証的に説明する方法を次の様な観点から探った。 1 個々の言語事象を支えている社会文化的価値観世界観を実証的に取り出すために,同じ事象をどのように見ているかを明らかにする方法を検討した。 2 自己と他者をどのようにとらえるかは,人間の世界観価値観の基礎となるものであり,自己と他者との関係,自己のアイデンティティーをどのようにとらえているかを探る方法を検討した。 その結果,同じ絵を異なる言語文化社会の人々(日本語,韓国語,中国語,英語母語話者)に見せ,説明してもらうという以下のパイロットスタディーを行った。 (1) テニスの試合を自分がしているところを描いてもらう。 (2) 集合写真のイラストを見せ,自分はどこに並ぶか,それはなぜかを尋ねる。 その結果, 3つの言語文化社会で明確な相違点が見られた。他の言語母語話者に比べ日本語母語話者は自己を相手との関係から捉える傾向にあり,常に他者との関係性の中で自己の位置付けを行っているのではないかという傾向が見られた。また他の3つの母語話音の間にも微妙な相違点が認められ,本研究の目的を達成するための調査として有効であると考えた。 この結果をふまえて本調査のための項目を抽出し,次年度に本調査を行う。
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