1998 Fiscal Year Annual Research Report
名詞句の指示性・非指示性に関する意味論的・語用論的研究
Project/Area Number |
10610520
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 佑司 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (90051747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 千明 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (10153355)
小屋 逸樹 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (80234904)
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Keywords | 名詞句 / 指示性 / コピュラ文 / 変項名詞句 / 属性名詞句 / 意味解釈 / 潜伏疑問文 |
Research Abstract |
名詞句が世界の対象を指示する(refer to)ということは、名詞句の重要な意味機能ではあるが、文中に登場する名詞句のなかには、指示機能をかならずしも有さないものもある。本研究の目的は、このような非指示的な名詞句にたいするこれまでの意味論的・語用論的アプローチを再検討し、その問題点を探り、名詞句の指示性・非指示性にたいする、新しい独創的なアプローチを提案することにある。 本年度は、研究グループのメンバーがこれまでおこなってきた研究成果をそれぞれ整理し、コピュラ文の主語名詞句と述語名詞句の指示性・非指示性の特徴付けを確認することに重点を置いた。そして、次の作業を行った。 1、 日本語のコピュラ文のデータを集積し、これまでのコピュラ文の分類(「叙述文」「指定文」「同定文」「同一性文」)の妥当性を検討した。 2、 Halliday(1967,1985)などに見られる、語順を手がかりにしたコピュラ文の分析には重大な問題があること、そして、形式的観点だけでなく、文中における名詞句の意味特性(たとえば、指示的名詞句、属性名詞句、変項名詞句、特徴記述の名詞句など)に注目した考察が必要であることを論証した(熊本1998参照) 3、 「話し手の知っている文法」という表現が、指示性・非指示性に関して曖昧であることを指摘した。また、そこから、文法理論の位置づけ関して興味深い帰結が得られることを論証した。 (西山1998参照) 4、 「変項名詞句」と「潜伏疑問文」(concealed question)との性質の相違を考察した。
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Research Products
(2 results)