1998 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの文化が言語の文法化に及ぼす影響に関する基礎的・実証的研究
Project/Area Number |
10610522
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
井出 祥子 日本女子大学, 文学部, 教授 (60060662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 東北大学, 留学生センター, 助教授 (70181526)
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Keywords | 東アジアの文化価値 / 「和」の概念 / コミュニケーション / 文法化 / 日韓対照文法 / 会話分析 / あいづち / 終助詞 |
Research Abstract |
(I) 東アジアの文化価値とコミュニケーション行動の相関に関する研究 日本女子大学において「文化価値と言語使用」の関係を具体的な言語資料、特に会話や言語習得のデータに基づいて分析、考察するワークショップを平成10年9月および平成11年3月の2回開催した。これらのワークショップにおいては、東アジア特有の文化価値(特に「和」の概念)と、代名詞を西欧語のように頻繁に使用しない現象や、あいづち、終助詞の使用などの東アジア言語に顕著な言語現象との相関に関して、Dr.Sotaro Kita(Max Plank Institute),Dr.Michacl Bamberg(Clark University)をはじめ、言語人類学、会話分析、言語類型論、言語習得といった様々な分野の研究者がオリジナルな研究成果を発表し、活発な議論が行われた。また、韓国、ソウル市中央大学校日本語日本文学科教授任栄哲氏に共同研究者として、日本と韓国の文化価値の研究をして頂いている。 (II) 日本語と韓国語の文法と文化・コミュニケーションの総合的対照研究 また、東北大学においては、東アジア言語の文法化のパターンと、東アジア特有のコミュニケーション行動、さらに文化との関係を、特に日本語と韓国語の文法の対照を通じて明らかにするという観点から、「格助詞と形式名詞の融合」、「終助詞の会話における使用」などの文法現象が言語類型論、対照言語学、歴史言語学の観点から分析された。 (I),(II)で述べた研究成果の一部は、国内外の学会(国際語用論学会、言語処理学会)における研究発表、さらに学術論文(「日本語学」、 「Japanese/Korean Linguistics」などの学術誌)の形で公刊された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 井出祥子: "文化とコミュニケーション" 「日本語学」臨時増刊号. 17. 62-77 (1998)
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[Publications] 井出祥子: "言語イデオロギーと話者のアイデンティティー:象徴のメカニズム" 「ことばの20世紀」. 218-234 (1999)
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[Publications] 堀江 薫: "コミュニケーションにおける言語的・文化的要因" 「日本語学」臨時増刊号. 17. 118-127 (1998)
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[Publications] 堀江 薫: "Functional Duality of Case-marking Particles in Japanese and its Implications for Grammaticalization" Japanese/Korean Linguistics. 8. 147-159 (1998)
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[Publications] 堀江 薫: "On the polyfunctionality of the Japanese Particle No: From the Perspectives of Ontology and Grammaticalization" Studies in Japanese Grammaticalization. 169-192 (1998)