1999 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの文化が言語の文法化に及ぼす影響に関する基礎的.実証的研究
Project/Area Number |
10610522
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
井出 祥子 日本女子大学, 文学部, 教授 (60060662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 東北大学, 留学生センター, 助教授 (70181526)
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Keywords | 言語とアイデンティティー / 言語イデオロギー / 指標的機能 / 高コンテクスト言語 / 認知類型論 / 文法化 / 比較類型論 / 談話と文法 |
Research Abstract |
平成11年度は、本研究計画二年度目に当たり、代表者(井出)、分担者(堀江)ともに個々の研究計画の実施、成果発表を行なった。 井出は、井出は、9月は、ドイツで開催された「ジェンダーと言語」、12月にタイで開催された「ポライトネス」に関する国際学会でそれぞれ基調講演を行なった。また井出は、言語イデオロギー、敬語使用のダイナミズム、日英語の語用論的対照研究等のテーマに関する研究論文を発表した(成果欄参照)。これらの研究の結果.東アジアの文化的認識、言語イデオロギー、敬語を含めた言語使用のダイナミックな相関関係を明らかにしはじめた。また、井出は、上述の研究の観点から、Journal of PragmaticsのGuest Editorとして「文化的認知と言語使用の相関」を探求した研究論文の執筆と編集を行ない、国語審議会第一委員会主査として21世紀に向けての言葉づかいに関する答申の準備作業をつうじて本研究成果を応用した。 堀江は、7月にスェーデン、米国の国際学会で日韓対照言語学の観点からの文法化に関する研究発表を行ない、9月には京都で開催された第二回認知言語学フォーラムのシンポジウムで日韓語の文法に関する認知類型論的発表を行なった。また堀江は、日本語、韓国語の文法、文法化に関する研究論文を発表した(成果欄参照)。これらの研究の結果、東アジア言語の文法化現象が、ヨーロッパ言語とは異なった特徴を持っていることが明らかになった。東アジア言語の文法化の持つ特異性は、井出が指摘している東アジアの文化価値、言語イデオロギーと深い関係を持っていると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 井出 祥子: "言語イデオロギーと話者のアイデンティー"「ことばの20世紀」(ドメス出版). 218-234 (1999)
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[Publications] 井出 祥子: "敬語は何をするものか"日本語学. 8月号. 55-69 (1999)
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[Publications] Ide.Sachiko&Megumi.Yoshida: "Socio lingnistics:Honoritics and Gender Differences"Handobook of Japanese Lingnistics.. 444-480 (1999)
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[Publications] Horie.Kaoru: "From Core to Periphery:A Study on the Directionality of Syntactic Change in Japanese"Cognition and Function in Language(CSLI). 1-14 (1999)
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[Publications] 堀江 薫: "日韓語の補文構造の認知的基盤"「認知言語学2:カテゴリー化」. (採録ずみ)
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[Publications] 平 香織,堀江 薫: "韓国語の接辞-neyと終助詞「ね」のムード機能に関する一考察"日本言語学会第118回大会予稿集. 147-152 (1999)