Research Abstract |
本年度はスキャナー,外部記憶装置(Jazディスク),プリンター,データベースソフトが購入され,校費で調達されたコンピューター本体と接続され,写本の画像入力およびデータベース化が行われた.全体の1800篇の詩篇から3写本に共通する54篇を選び,うち30篇ほど画像データとして入力し,かつ以下に述べるような形でデータベース化した. 画像ファイルは,画質の劣化の少ないPICT形式としたため,1画像あたりの容量が10Mb程度となり,外部記憶装置のJazディスク1枚は1Gbであるので,1篇あたり3画像を要するため30篇で900Mbほどが1ディスクへの入力の限界であった.画像データは編集し,詩篇によっては1篇が写本の異なるページや段にまたがっているので,1頁に収まるようにし,またしみなどの汚れも取除いた.その結果、画面上でもプリンターで印刷した場合でも,全体または部分を拡大するなどして,より正確な読みが可能となった.また,さらに,従来ファクシミリ・エディションでは不可能に近かった,写字生の同定なども可能な精度である.これらの画像はデータベースソフトによって、1)写本内の位置,2)ジャンル,3)作者,4)作成推定年,5)詩形および韻律情報,6)写字生に関する情報および7)その他の専門技術的情報を付されリレーショナル化されているので,それぞれの観点からの検索がすでに可能である. 以上,本年度の実施計画は十分に遂行され,またデータもある程度の量に達しているので,中世文学テキスト分析の基礎データとして活用できる状態である.次年度以降,引き続き入力を継続するとともに,すでにあるデータを学会発表などを通じて活用する予定である.なお,データそのものが大きいため,記憶装置等との関係で能率的な運用を図ることが今後の課題として残されている.
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