1998 Fiscal Year Annual Research Report
近代国家の形成における訴訟法・訴訟制度の変革と役割
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10620003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西川 洋一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00114596)
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Keywords | 訴訟法 / 国制史 / 法制史 / 近代国家 / 立法 / 法学 / 民事訴訟 / 都市法 |
Research Abstract |
今年度は初年度だったので、これまで私個人としては必ずしも十分な研究を積んでいなかった近世・近代の訴訟法の発展にかかわる基本問題と文献の研究に終始した。特に検討を進めたのは、次の点である。 (1) 中世後期のドイツ都市における訴訟法の規範、訴訟法実務とそれを担った法律家についての研究状況の調査。研究の比較的進んでいるニュルンベルクを中心に行なった。ニュルンベルクにおいて専門法律家がまず参事会員や法律顧問として活動した後、徐々に裁判官として日常的な法実務に関与し始める過程を具体的に明らかにすることができた。また、ニュルンベルク市が、自己の政治的主張を基礎づけるためにしばしばバードヴァ大学の法学部に鑑定を依頼しているという興味深い現象について、調査を行なった。 (2) これまで研究の手薄であった近世ドイツの民事訴訟法学の発展について、K.W.Norrの研究を手がかりにして調査を行なった。この時代の訴訟は、基本的には中世以来の普通法的訴訟法に基づいて行なわれていたのであるが、学者は自然法論の影響を受けて、普通法訴訟の本質的部分を自然法によって基礎づけるとともに、「訴訟行為」をはじめとする一般的な概念形成によって、19世紀以後のドイツ民事訴訟法学における訴訟の分析方法の基礎を形成した経過を明らかにした。更に、1793年のプロイセン一般裁判法典に結実するフリードリヒ2世下の啓蒙主義的な訴訟法改革の過程を検討した。
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Research Products
(2 results)