1999 Fiscal Year Annual Research Report
農村社会における「家」の承継-新潟県佐渡地方を対象とした調査研究-
Project/Area Number |
10620004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山下 威士 新潟大学, 法学部, 教授 (30008916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 克浩 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50238929)
関 武志 新潟大学, 法学部, 教授 (30187835)
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Keywords | 民主化 / 家族 / 農村女性 / 家族経営 |
Research Abstract |
個人主義とは相入れない地縁ないし血縁による互助的な村落共同体としての意識が,日本社会に少なからず存続しているため,特定地域における近代化の事情について法学・社会学のサイドから学際的に考察したのが本研究である。 第一部では,戦後の家族法改正には当初から民主化が十分に貫徹されなかった,という制定過程を明らかにしたうえで,人口変動と産業構造の転換を基軸に戦後家族の移り変わりを分析した。続いて;この分析との比較という観点から,主として佐渡郡を対象に,(1)人口構造、(2)家族世帯,(3)民主化教育という側面からの特殊性を,データを解析することで明らかにし,こうした特殊性との関係から法の限界に言及した。 次に,日本の農村の女性は,農業の担い手として大きな役割を果たしているにもかかわらず,農業経営や地域社会における方針決定への参画は不十分であるとの認識から,第二部では,まず,農村女性の問題を軸として,現状,政策,研究史を概観し,家族経営における個人としての女性の役割や地位,および女性のネットワークについて考察する必要性を指摘した。そのうえで,佐渡郡真野町に所在する果樹組合の事例を取り上げ,インテンシヴな聴取調査によるデータ紹介・検討をおこなった。この事例では,女性が果樹組合の会合や先進地研修に積極的に参加し,個別経営においても大きな発言力をもっている。現在40代から50代の女性たちが,参画の道を切り開いてきた状況と,なおそこに孕まれる限界について指摘した。
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