1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世における犯罪.刑罰 および刑事訴訟手続きに関する総合的研究
Project/Area Number |
10620009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植田 信廣 九州大学, 法学部, 教授 (70125996)
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Keywords | 日本中世 / 犯罪 / 刑罰 / 検断得分 / 博奕 / 密懐 / 所領没収 / 検封 |
Research Abstract |
本研究は、日本中世においていかなる行為がいかなる理由で犯罪とされたか、また、いかなる手続に基づいていかなる制裁を受けたかという問題を全面的に解明する作業の一環として、「検断得分」(犯罪処理に伴う領主の権益)の制度と実態について全面的に解明すること、および、中世の犯罪観解明作業の一環として、「博奕」および「性的道徳秩序を侵害する罪(強姦・姦通等)」に関する先行学説の全面的再検討を行うことを主たる目的としている。今年度は、そのための準備作業として、当初の予定通り、中世法史に関する基本的な公刊史料のうち、「鎌倉遺文」、「南北朝遺文」、「中世法制史料集」を対象として、研究代表者および研究補助者が手分けして、犯罪、刑罰および刑事訴訟手続に関連する66のキーワード(「検断得分」、「検封」、「闕所」、「所領没収」、「博奕」、「密懐」等々)を設定し、その検索を行った。現在、検索されたキーワードのパソコン入力による整理作業にあたっているところであるが、予想を上回るデータを集積できたと考えている。本研究は、データペース作成自体を目的としたものではないが、集積されたデータは、近い将来における刑事法史史料のデータベース化の骨格をもなすことになろう。 平成11年度には、引き続き研究補助者を使ったキーワード検索作業を行い、この検索作業を終了させる。これと並行して、研究代表者は、リストアップされた史料群を実際に利用した、研究課題研究に着手し、主として「検断得分」に関する研究の成果公表を行う予定である。なお、11年度以降は、検索方法として、イメージ・スキャナ、OCRソフトの利用も、試験的に取り入れることにしている。
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