日本中世における犯罪、刑罰および刑事訴訟手続きに関する総合的研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10620009
• Research Institution: KYUSHU UNIVERSITY
• Principal Investigator: 植田 信廣 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (70125996)
• Keywords: 検断 / 博奕 / 罪科 / 検断得分 / 闕所 / 密懐 / 検封 / 強姦

Research Abstract

本研究は、日本中世においていかなる行為がいかなる理由で犯罪とされたか、また、いかなる手続に基づいていかなる制裁を受けたかという問題を全面的に解明する作業の一環として、「検断得分」(犯罪処理に伴う領主の権益)の制度と実態について全面的に解明すること、および、中世の犯罪観解明作業の一環として、「博奕」および「性的道徳秩序を侵害する罪(強姦・姦通等)」に関する先行学説の全面的再検討を行うことを主たる目的としている。今年度は、(1)そのための準備作業として、前年度にひきつづき中世法史に関する基本的な公刊史料を対象に、研究代表者および研究補助者が手分けして、犯罪、刑罰および刑事訴訟手続に関連する66のキーワードの検索を行い、これをパソコンに入力する作業を行うとともに、(2)検索されたキーワードに関する簡単なデータベースを作成し、さらに(3)検索・集積された史料をもとに「検断得分」および「博奕」に関する研究成果を公表することを目標としていた。その結果、研究成果報告書としてキーワードに関するデータベースを作成することができ、これによって、中世刑事法史研究の今後の進展に若干の寄与をなすことは出来たと考えている。他方、これらのデータを用いた研究論文については、中世の「博奕」に関する総合的分析の成果をまとめたものを現在執筆中であり、また、中世の「検断得分」に関する再検討作業を鋭意進めているところであるが、平成12年度内の公表には間に合わなかった。いずれも平成13年度内の公表を予定している。