1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10620019
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
水野 忠恒 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70092343)
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Keywords | 年金 / 保険料 / 年金給付 / 年金資金 |
Research Abstract |
本研究は、高齢化社会の中で重要性を増しつつある年金制度及びそのための年金資金の運用に関する課税問題を検討するものである。 まず、年金制度として、高齢化社会を運営するための公的資金としての年金保険と税制との比較研究を行っている。さらに、それに自助努カとしての年金の私的保険も検討に加えている。 年金制度の運用においては、(1)年金保険料の課税とその取り扱い、(2)年金資金の運用に対する課税、(3)年金給付に対する課税の在り方について検討を行うことによリ、高齢化社会に適応した税制全体の体系、さらには所得税制における年金課税の在り方を論じた。また、世代間の公平、ライフサイクルという言葉が議論される今日、高齢者イコール経済的弱者という従来の固定観念も変える必要性に迫られている。本研究では、所得税制においては、高齢化社会への移行期においては、単純な所得の再分配という視点では不十分であり、これからの社会で必要なのは、勤労世帯と老年者世帯もしくは年金世帯との公平であると認識した。さらに、高齢化社会における公的負担の選択も考慮し、国民負担率が高まる今日、社会保障制度と関連した税制全般の議論が必要であるとして、所得の移転システムとしての社会保障負担と税制との関連性を論じた。このように社会保障サービスの増大が予想されるもとでは、すべてを公的負担により賄わなければならない訳ではなく、社会保障の民営化も必要である。これらの状況をも考慮して、年金資金の運用の在り方、さらにその課税の在り方を検討した。 今後の高齢化社会に向かって、年金制度の在り方及びその課税の仕組みは避けて通れない課税であり、研究の一助であることを願っている。
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