2000 Fiscal Year Annual Research Report
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10620020
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡村 忠生 京都大学, 法学研究科, 教授 (30183768)
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Keywords | 無形資産 / 知的財産権 / タックス・シェルター / 租税優遇 / 優遇措置 / 組織税制 / 組織再編 / 繰越損失 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度として、知的財産権の開発に対する国際課税の効果を検討した。また、昨年度に引き続き、国際課税における費用分担取決めが、国際課税の枠組み自体をどのように変えているかを、グローバル・トレーディングに対する移転価格税制の適用をも視野に入れながら、検討した。 同時に本年度は、わが国でも立法作業が進行しつつある法人組織再編税制が、知的財産権の移転に与える影響を検討した。昨年度は、アメリカにおける法人タックス・シェルターが、知的財産権の形成に大きな影響を与えたことを検討したが、シェルターを機能させるための具体的な内容には、組織再編税制の利用または乱用が深く関わっている。そして、シェルターに対する乱用規制においても、組織再編税制や知的財産権の開発に対する税法の基本的なスタンスが問われている。別の言角度から言えば、無形資産にかかる租税優遇利益の意図せざる拡大が、組織再編税制によってもたらされているのである。たとえば、他に利益がないため、無形資産の開発に対する優遇(加速償却等)を十分に利用することができず、繰越損失が発生した法人を、組織再編税制の適用を受けながら非課税で取得し、取得した別の法人がその繰越損失を利用する事例が見られるが、これを規制すべきかどうかといった点が問題となる。本年は、そうした事案を集積するとともに、その対処(否認)のあり方を検討し、わが国における組織再編税制のあるべき姿を、ある程度明らかにすることができた。
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[Publications] 岡村忠生: "税負担回避の意図と二分肢テスト"税法学. 543号. 3-30 (2000)
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[Publications] 岡村忠生: "法人分割税制とその乱用"税経通信. 55巻15号. 31-43 (2000)
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[Publications] 岡村忠生: "法人清算・取得課税におけるインサイド・ベイシスとアウトサイド・ベイシス"法学論叢. 148巻5・6号. 193-282 (2001)