2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10620035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 紀子 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40114665)
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Keywords | 親子関係 / 民法 / 遺伝子鑑定 / 人工生殖 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であった。民法の規定は判例と学説の血緑主義的解釈によって空洞化していたが,嫡出推定に関する最近の最高裁判例が私の従来の主張を大幅に取り入れて,この空洞化傾向に歯止めをかけた。親子関係を争うことを許す訴訟要件こそが法律上の親子関係の内容を構成するという観点から,法律上の親子関係によって子の身分を守るべきであるという主張が認められつつある。今年度までで,わらの上からの養子の解釈論を含めて,従来の親子関係法についてひととおり私見の解釈論を雑誌論文で活字にした。できれば今年度中に筆者の親子法研究を論文集にまとめて出版する予定であったが,生殖補助医療によって出生した子の親子関係について、立法の動きが急速に始まったため、その準備作業の各種の研究会やシンポジウムに追われ、果たせなかった。来年度中には有斐閣から出版する予定である。 生殖補助医療による子の法律上の地位については、活字にしたものはまだ限られているが、今年度の研究の主な領域であった。遺伝子鑑定が規制できれば、現在の民法の解釈論によっても、この種の子の身分は守りうるものと考える。
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[Publications] 水野紀子: "人工生殖子の家族法上の身分"産婦人科の世界2000年春季増刊号. 180-185 (2000)
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[Publications] 水野紀子: "認知無効について(一)"法学. 64・1. 27-52 (2000)
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[Publications] 水野紀子: "認知無効について(二)"法学. 64・2. 139-170 (2000)
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[Publications] 水野紀子: "不妊症治療に関連した親子関係の法律"ペリネイタルケア2001年新春増刊号. 247. 267-277 (2001)
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[Publications] 吉田正志: "藩法史料叢書3仙台藩上"創文社. 800 (2002)