2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10620047
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村中 孝史 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80210053)
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Keywords | 労働法 / 労使関係 / 中小企業 / 法化 / 法意識 / 労働契約 |
Research Abstract |
本年度は、過去2年間にわたる研究をまとめる作業を行った。 過去2年間においては、インタビュー調査やアンケート調査を行ったほが、海外の研究者らとの意見交換も行い、さらに、これらの知見に基づき理論的な研究も進めてきた。本年度においても、過去の実態調査について再検討する作業とともに、意見交換などで得られた知見に関して吟味する作業を行った。そしてその成果を公表すべく作業を行い、その大部分は、トーマンドル・村中編著『中小企業における法と法意識』(京都大学学術出版会、2000年)の中において公表したところである。 本書において触れているように、当初の予測どおり、中小企業における法状況は、大企業におけるのとは相当に異なり、法政策のあり方の困難さとともに、解釈学のもつ実践的意義についても考えさせられるものがあった。中小企業における現実を前提にする限り、常に、その実際的効果を念頭に議論を進めなければ、およそ効果的な議論は期待できない。社会の法化は確実に進んでいると言えるし,昨今の司法改革論議がこれを背景にしていることも否定できないが、こうした法化現象は、社会のあらゆる場面で均一に進んでいるのではなく、相当程度の濃度差をもって進行していると見なければならない。労働法は、労働者の人権にかかわる法であるだけに、こうした現実には無関心ではいられず、常に、法が遵守されているのかどうか、また、さらに進んで、遵守されうる状況にあるかどうかに目配りしなければ、実効的に法目的を実現できるものではないであろう。今後は、より各論的なテーマに関して、労働法の実効性ある適用が可能となるような方策を検討することが必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)