1999 Fiscal Year Annual Research Report
規制緩和下における公共企業概念の再構成とその競争政策との調整
Project/Area Number |
10620053
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
濱谷 和生 甲南大学, 法学部, 教授 (30218531)
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Keywords | 規制緩和 / 公共企業 / 競争政策 / 独占性 / サービス必需性 |
Research Abstract |
現在進行している規制緩和という法・社会現象の下で、公益事業法分野における指導像をいかに考えるかという問題は複層的な構造を有する一連の課題である。公益事業法を取り巻く急激で根本的な環境変化の中で、従来は経済的であれ、あるいは社会的であれ、ともかく何らかの独占性を一つの指標に語られてきた公益事業概念を、現状の姿においていかに説得的に説明すべきか、また同時にさような理論を今後の規制政策の行方を照らすものとしてもいかに構築すべきかという課題を、その周辺に所在する一連の問題群との調整や整合という視点を堅持し、かつかかる視点から注がれる研究上の眼差しがその当の理論自体を各々の側面から豊かに照らし返すことで理論の相貌と輪郭が一層明確化するように、明らかにすることが本研究の課題である。いま、現状では、さしあたり次のように述べることが許されよう。当該事業の独占性と提供されるサービスの必需性を中核として構想されてきた伝統的な公益事業法の観念は、規制緩和に関わる競争導入に伴ってパラダイムの転換を含む基本的修正を余儀なくされている。今後の公益事業法の観念は、一つには市場支配的な地位にある事業者の保有するネットワークに対するアクセス保証を中心とする、いわば規制を通じての競争促進措置を、二つには、にもかかわらず依然として社会生活上重要な意義を有するサービスの最終的確保のための、いわゆるユニバーサル・サービスの維持・保証のための規制装置を中軸として組み立てられるべきである。
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Research Products
(2 results)