1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10620062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10012460)
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Keywords | 国際共産主義運動 / スターリン / 平和共存外交 / 毛沢東 |
Research Abstract |
戦後日中関係に関する文献及び、中国側の、戦後日中関係の打開にかかわった方へのヒヤリングを通じ、以下の点について研究を進めた。(1)誰が対日政策の最終的策定者であったのか。(2)対日政策の政策決定過程はどうなっていたのか。(3)中国の対日政策の目標は何であったのか。日本との国交樹立であったのか。それとも別のものであったのか。(4)対日政策と国際共産主義運動の関係はどうなっていたのか。戦後初期に関しては、日本の対中政策がアメリカの強い影響下にあったのと同様、中国共産党、中華人民共和国の対日政策もソ連、とりわけスターリンの強い影響下にあったことが確認された。中華人民共和国が日本に対し、積極的に国交正常化を呼びかけるようになるのは、1953年のスターリンの死後、ソ連のポスト・スターリンの指導者が西側に対し、雪解け外交、平和共存外交を進めるようになってからである。中国の対日政策の最終的策定者に関しては、他の内外政策同様、毛沢東であることを再確認することができた。 さらに、1998年12月、訪中し、同月28日、北京での中国中日関係史学会と北京市中日関係史学会共催の学術報告会で、「日本の対中政策-台湾問題をめぐって」と題して報告した。その際、中国側の日中関係史の専門家との意見交換を通じて、戦後日中関係史に関する様々な点での新たな知見を得ることができた。今年度の研究を通じて得られた知見は来年度の研究に生かしていきたい。
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