1999 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットを活用したナチス台頭期在独日本人知識人グループの研究-ワイマール民主主義から戦後日本民主主義へ
Project/Area Number |
10620063
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 哲郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (30115547)
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Keywords | 留学 / ワイマール / ナチス / 大正デモクラシー / ベルリン / 国崎定洞 / 有沢広巳 / 千田是也 |
Research Abstract |
本研究の目的は、関東大地震後の1926-34年期に、文部省在外研究員などとしてドイツに滞在し、当時世界で最も民主的といわれたワイマール共和国が崩壊しヒットラー政権が成立する過程を目撃・体験して反戦反ナチ活動に加わった在独日本人反帝グループの活動を発掘し、彼らの体験とその後の軌跡の検討を通じて、ドイツのワイマール民主主義から日本の戦後民主主義への継承・断絶関係を探求するものである。 第2年度である平成11年度は、反帝グループ中の学者グループを集中的に研究した。東大新人会出身者と京大河上肇門下生を数多く含むベルリン社会科学研究会・反帝グループには、政治学・行政学における東大法蝋山政道と京大法の黒田覚・大岩誠、統計学における東大経有澤広巳と京大経蜷川虎三、労働法における九大法菊池勇夫・舟橋諄一と早大法野村平爾、マルクス経済学における講座派東大法平野義太郎・東大経山田勝次郎と労農派東大経土屋喬雄・有澤広巳など、日本国内では対極ともいえる学風のちがう学者たちが、一緒にトイツ語文献を読んだり、旅行をしたり、反戦反ナチ活動に携わるという、異国の青春ならではのつながりがあった。医学者東大医国崎定洞と俳優千田是也と経済学者有澤広巳など異領域の交流もあった。 これらについては、初年度に個人別データベースをつくり、リストをインターネット・ホームページ「加藤哲郎の研究室」〈http://www.ff.iij4u.or.jp/〜katote/Home.shtml〉に公開して、情報提供をよびかけてきた。第2年度のインターネットヘのアクセスは、このことが読売新聞・日本経済新聞等で報道されたこともあって飛躍的に伸びた。開設以来延べ8万ヒットに達し、期せずして日本の政治学では最大の個人サイトとなった。このデータベース情報公開により、各種情報が電子メールを通じて世界各地から寄せられるた。本年度は特に、上記メンバーのほか山本勝市(和歌山高商経)、横田喜三郎(東大法)、新明正道(東北大経)、服部英太郎(東北大経)、杉本栄一(東京高商経)、三枝博音(成蹊高哲学)、ねずまさし(パリ考古学)らの在欧生活と活動について、著作・論文と関連資料を集めることが出来た。また、インターネットによる史資料収集という本研究の方法そのものが注目され、いくつかのネット関連論文を発表した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 加藤 哲郎: "インターネットで社会科学"アソシエ21. 第3号. 10-12 (1999)
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[Publications] 加藤 哲郎: "インターネットで歴史探偵"歴史評論. 第594号. 22-29 (1999)
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[Publications] 加藤 哲郎: "デジタル・カレッジの夢と逆夢"Webmagazine "Academic Resource Guide". 第47号. 1-2 (1999)
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[Publications] 加藤 哲郎: "インターネットで政治学"エコノミスト. 2000年2月1日号. 54 (2000)
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[Publications] 加藤 哲郎: "第一次共産党のモスクワ報告書(上)"大原社会問題研究所雑誌. 489. 35-56 (1999)
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[Publications] 加藤 哲郎: "第一次共産党のモスクワ報告書(下)"大原社会問題研究所雑誌. 492. 37-57 (1999)
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[Publications] 加藤 哲郎: "マルクスは共産主義者社会を研究の目標としたか"アエラ別冊「アエラ ムック マルクスがわかる」. 26-27 (1999)
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[Publications] 永原慶二ら編集(編集委員): "日本史辞典"岩波書店. 1802 (1999)
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[Publications] グラムシ没後60周年記念シンポ(編集委員): "グラムシは世界でどう読まれているか"社会評論社. 316 (2000)