1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10620070
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
笠 京子 香川大学, 法学部, 助教授 (90210822)
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Keywords | 行政改革 / 制度 / アイデア |
Research Abstract |
平成10年度は、英日の行政組織改革(サッチャー政権以降と橋本政権以降)を事例に、制度とアイデアの関係を考察した。制度の違いは改革アイデアの展開にどのような影響を及ぼしたのか。行政組織の決定制度における行政府と立法府の権限分担は国ごとに多様であるが、英国では、行政組織の決定権が内閣、行政府にあるのに対し、日本では83年の国家行政組織法改正後も基本的には国会、立法府に属する。また日本が内閣法や国家行政組織法、国家公務員法など法律によって行政組織に硬いしばりをかけているのとは対照的に、慣習法の国英国では行政組織を規律する法制度はない。その結果、行政組織そのものも沿革的に形成され複雑な英国にたいし、日本の組織は明治維新後、敗戦後と二度にわたる総括を経て合理的に計画され、より画一的である。このような英日両国の制度の違いが、行政運営の効率化という共通の課題を組織改革に結び付けていく過程、あるいはその内容にどのような影響を及ぼしたのか、あるいは及ぼさなかったのか、を検討した。結論としては、行政組織改革において制度の違いは殆ど意味をもたないことがわかった。改革のアイデアは、英日で大きな違いはなく、その時期も英日ともに改革実現の20年から50年以上も前に遡ることができる。改革を阻んできた要因は制度とは別の部分に求められることがわかった。
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