2000 Fiscal Year Annual Research Report
EU(欧州連合)拡大と新欧州秩序形成をめぐる政治力学に関する研究
Project/Area Number |
10620074
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (60221959)
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Keywords | EU(欧州連合) / 深化と拡大 / 中・東欧 / 地中海 / 機構改革 / ニース条約 / 新欧州秩序 / 加盟交渉 |
Research Abstract |
本年度は、年度当初の研究計画通り、以下の項目について研究を進めた。 (1)EUの南方拡大の行方: マルタ、キプロス、トルコのEU加盟申請およびEUの地中海政策全般の状況について整理・分析し、マルタとキプロスがそれぞれ極小国、南北対立という固有の問題を抱えつつも、EU加盟に向けて現実的に近づいていること、トルコはまだ政治的にEU側が受け入れる状況にないことなどを明らかにした。これらについては、2000年5月の日本国際政治学会にて口頭報告を行った。 (2)EU拡大に備えたEU内部の機構改革: EU加盟諸国は、2000年12月のニース欧州理事会において、小幅ではあったが、EUの次期拡大の早期実現を確実なものにすることを目的としたEU内部の機構改革で合意を成立させ、2001年2月にニース条約が正式に調印された。本条約により、現在EUと加盟交渉を進めている12カ国は、加盟交渉が終了次第EUに加盟できる体制が整ったと言える。 (3)次期EU拡大プロセスの全容の整理: EU拡大のダイナミズムの全容を整理するための1ステップとして、過去のEU拡大プロセスと次期拡大とを比較し、その共通点と相違点を検討するとともに、中・東欧の10カ国および地中海のマルタ、キプロス、トルコのEU加盟問題の経緯について、1989年の冷戦崩壊前後から2000年11月に提示された欧州委員会の新加盟プログラムまでを時系列的に整理し、研究論文として発表した。
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Research Products
(1 results)