1998 Fiscal Year Annual Research Report
ホッブズにおける機械論的自然像の成立と政治哲学の近代的転換
Project/Area Number |
10620082
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 正志 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (30145156)
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Keywords | ホッブズ / 政治哲学 / 機械論的自然像 / 科学革命 / 人文主義 / レトリック / 社会契約 / 近代国家 |
Research Abstract |
本研究の目的は、17世紀英国の哲学者トマス・ホッブズの政治哲学を、同時代の科学革命による学のパラダイム転換ーーアリストテレスースコラ的伝統から近代科学への知の総体的転換ーーの中で捉え、近代的な政治哲学の成立過程とその特質を明らかにすることである。 そこで本年度は、研究計画に基づいて、ホッブズ政治哲学における近代的学問の理念の物質を、人文主義的政治学の伝統の変容過程およびそれをもたらした科学革命における近代的な学知の理念の形成というコンテクストのなかで明らかにすべく研究を進めた。 具体的には第一に、Quentin Skinnerのホッブズにおけるレトリックの意義についての研究が提起した問題を受け止めながら、ホッブズにおける人文主義的伝統の意味について再検討した。 第二に、ホッブズと科学革命の関係について、Steven ShapinとSimon Schafferのホッブズーボイル論争と経験科学の成立過程の分析の問題提起を受け止めつつ再検討した。 第三に、ホッブズの政治哲学の主題を、初期近代における政治思想の変容のなかで明らかにするための研究を進めた。とくに「社会契約」の概念がホッブズにおいて成立したことを、そのような思想史的文脈のなかで明らかにしようとした。 また、ホッブズ研究の現在についてのサーヴェイを行い、近年のホッブズの哲学体系の形成・展開過程についての綿密な研究と独創的な解釈を十分にふまえるために、文献についてのデータの収集と整理、およびそれらの分析を進めた。
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