1998 Fiscal Year Annual Research Report
動学的計量経済モデルにおけるラグ変数追加法とその効果
Project/Area Number |
10630021
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山本 拓 一橋大学, 大学院経済学研究所, 教授 (50104716)
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Keywords | 非定常時系列分析 / ワルド検定 / ベクトル自己回帰モデル / 小標本特性 |
Research Abstract |
本年度は、非定常あるいは定常なVAR(ベクトル自己回帰)モデルの統計的分析に関して開発された「ラグ変数追加法」(恣意的にラグ次数の高い説明変数をモデルを追加する方法)を、非定常な説明変数を持つ回帰分析タイプの動学的計量モデルに対して適用する方法を示すとともに、この推定法に基づくWaldタイプの検定統計量のサイズの研究を行った。ここで動学的計量モデルとは、ラグ付き内生変数を説明変数として含むモデルあるいは分布ラグ・モデルを意味する。またここでの非定常性とは、変数が単位根を含むという意味である。 具体的には、第1には「ラグ変数追加法」を非定常な説明変数を持つ回帰分析タイプの動学的計量モデルに対して適用した場合の、推定量の漸近的性質を理論的に導き、さらに有限標本におけるWaldタイプの検定統計量の経験サイズの改善のために、最小二乗推定量の小標本バイアスを修正する方法が示した。第2には、説明変数とモデルの撹乱項との関係の強さと、推定量の小標本バイアスの関係を研究した。この研究では、その特徴を調べるために多量のシミュレーション実験を行った。 これらの研究成果は、Lag augmentation in regression models with possibly integrated regressorsというmanuscriptにまとめた。またこれらの研究について、イタリアのボッコーニ大学のセミナーにおいて1998年12月に発表し、M.Manera教授等のレビューを受けた。
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