1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630030
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 均 山形大学, 人文学部, 教授 (10141269)
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Keywords | EU / 欧州連合 / 東欧 / 中欧 / 産業空洞化 / 直接投資 / 通貨統合 / 新興経済 |
Research Abstract |
東方への拡大により、21世紀にはEU加盟国が現在の15カ国から25カ国を超えることになる。アムステルダム条約(97年条約)はEU拡大に向けての基盤を形成するものであった。ポスト冷戦以降に自由貿易協定から始まり、欧州協定による経済関係の一体化・自由化が急速に進展した結果、今や、文化・政治等の共有も含めて統合を目指すEU加盟が日程表に上ることになったのである。 欧州協定による工業品の自由化率が進展し、今やEU側の工業品の関税は撤廃され、中・東欧側も段階的に廃止されており、相互貿易も急速に拡大した。中・東欧の対EU経済依存の高まりのためばかりでなく、大競争時代でのEU諸国が低コストの中・東欧の労働を利用し、ここを生産基地化する直接投資戦略とも密接に関係した。それは同時にEU市場統合・通貨統合の進展のもとで、EU経済領域そのものが「国民経済化」が進み、ドイツに代表される高コスト地域の産業企業が域内での工業配置や企業合併を含む再構築の一環として対中・東欧への直接投資の展開であり、また、国際分業の再編過程であった。ただし、この分業関係は東アジアでの日・米との国際分業である先進国型分業と異なり、従来型の労働集約型であった。 99年のEUのユーロ導入は対中・東欧の新たな関係の形成であった。EUと中・東欧の貿易関係は欧州協定によって一層緊密化し、中・東欧諸国の対EUへの輸出比率はそれぞれ5〜6割に達している。こうした緊密な関係を背景に貿易決済通貨、外貨の準備通貨もユーロが利用される。EU加盟を前提にして中・東欧諸国は自国通貨をユーロにリンクさせ「信頼の輸入」を図るが、実体経済の困難を並行させる可能性が強まるのである。
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Research Products
(2 results)