1999 Fiscal Year Annual Research Report
国際石油供給に対するイスラム原理主義運動台頭の影響
Project/Area Number |
10630036
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岩崎 徹也 信州大学, 経済学部, 教授 (10262677)
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Keywords | 石油価格 / 石油需給 / 経済開発 / 産業再編 / イスラム原理主義 / 発展途上国 / 金融派生商品 / 企業経営 |
Research Abstract |
平成11年度における聞き取り調査および文献調査の結果、以下の点が明らかとなった。 平成11年度中に原油価格は、1バレルあたり約10ドルから約30ドルに急騰した。原油価格急騰の背景としては、OPEC(石油輸出国機構)の減産による需給の逼迫、国際石油資本を含む石油企業の在庫抑制政策、石油先物市場における投機的売買などがあげられる。 OPECの減産継続は、一般的には、原油価格低下で産油国経済が疲弊、青年層の失業問題が深刻化、イスラム原理主義を含む反体制勢力が台頭、産油国政府としては、石油収入の回復によって、経済を立て直す必要があったことが背景である。原理主義国イランでは、保守派主導の政治に不満を持つ青年層がハタミ大統領などの改革派の台頭をもたらした。原理主義の台頭を危惧するサウジアラビアは、皮肉にも、このハタミ政権の現実主義外交を評価、OPEC2大産油国の強調が強まり、OPECの団結強化を一層促進した。 原油価格低下は石油産業の世界的再編をも促進した。エクソン・モービルなどのメガ・マージャー進展は、原油低価格下で石油・ガス開発を推進するための資本力強化と在庫、人員削減を含む大幅なリストラクチャリングによるコスト削減・資本効率の向上を目的としている。その背景には、企業経営に対する資本市場・機関投資家をはじめとする株主の影響力増加があり、これは、石油先物を含む金融派生商品(デリバティブス)の急成長と軌を一にするものである。即ち、世界的資本過剰による金融肥大化・カジノ経済化が大きく影響していると考えられる。
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Research Products
(1 results)