1999 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリア・ニュージーランドの構造改革政策と日本へのインプリケーション
Project/Area Number |
10630043
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石垣 健一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40047486)
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Keywords | オーストラリア / 構造改革 / 金融政策 / 財政政策 / マクロ経済政策 / ミクロ経済政策 / 経常収支 / 所得政策 |
Research Abstract |
平成11年度においては、『オーストラリア経済のパフォーマンスと経済政策の役割』という論文を発表した。この論文では、過去30年に亘るオーストラリア経済のパフォーマンスと経済政策の役割について論じた。1970年代、80年代のオーストラリアの成果は、経済成長率、インフレ率、失業率などで見て、歴史的にも、国際的にも十分ではなかった。しかし90年代に入るとその状況は一変する。90年代の経済パフォーマンスはOECD諸国の中で最上位の国のひとつになった。なぜこのように状況が変化したのかをその間に採用されたマクロ経済政策(金融政策、財政政策、所得政策)、ミクロ経済政策、対外経済政策を概観し、その理由を探った。そしてそれはオーストラリア経済が70年代、80年代の不満足な経済パフォーマンスの中で、さまざまな困難を克服するために、試行錯誤を行いながらも、経済構造改革と合理的な経済政策の形成と運営にあることを明らかにした。この結果オーストラリア経済は保護主義的・規制重視の経済から市場における競争・効率重視の経済へと転換を遂げている。しかしなお解決をせまられている問題もいくつか存在している。第1に失業問題である。7年にも亘る好況にもかかわらず、失業問題は重要な課題として残されている。第2の問題は、経常収支の赤字問題である。経済の安定的運営のためにはこの問題の改善が必要である。第3は所得分配問題である。この国はいまや競争的で効率的な社会へと変貌を遂げているが、このことは富者と貧者との格差をもたらし、社会的緊張を高める危険性がある。
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Research Products
(1 results)