2000 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリア・ニュージーランドの構造改革政策と日本へのインプリケーション
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10630043
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石垣 健一 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40047486)
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Keywords | オーストラリア / ニュージーランド / 経済構造改革政策 / 金融市場 / 労働市場 / 公共事業 / 社会システム / アカウンタビリティ |
Research Abstract |
ANUとNZの構造改革政策から日本が学ぶべき点の第1は、両国政府1980年代から取り組んできた経済構造改革は、ひとつの部門や分野にのみ限定された改革ではなく、貿易、資本取引、為替、金融、労働市場、税制、公共事業、教育制度など国民経済全体にわたる改革である点である。特定のグループの特権や特定の利害集団のための規制を撤廃して、国民が自己の責任の下に、競争を通じて利益を追求するメカニズムを創り上げた点である。第2はこの改革は、短期的ではなく、中・長期的な視野に立って行われたことである。10数年の努力の成果がようやく実を結びつつあることを認識しなければならない。第3は労働市場のような重要で、硬直的かつ伝統的性格を持つ市場で徹底的な改革が行われたことである。ほとんどの国民が直接的に利害関係を持ち、しかもマクロ経済のパフォーマンスに重要な影響を与える市場の改革に踏み込んだ国民と政治家の覚悟に学ばなければならない。第4は、公共部門の運営におけるアカウンタビリティが強調された点である。このことによって、公共部門の透明性が確保され、責任の所在が明確になった。戦後日本の発展を支えてきた経済構造や社会システムの変革を迫られている現在、日本はAUSとNXの経験に謙虚に学ぶ必要がある。
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