1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630044
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
春名 章二 岡山大学, 経済学部, 教授 (30136775)
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Keywords | 独占禁止法 / 研究開発投資 / 不完備情報ゲーム / 数量競争 |
Research Abstract |
当初の研究計画にそって現在までに従来の研究のレビューと研究のためのモデルの構築を目指した. ただ従来の研究のレビューについては当該研究テーマに関連する内外の研究書・論文がほとんど見当たらない.そこでその代りその周辺研究のまとめを若干行った. 他方,理論的分析の基礎となる数理モデルの構築に向け,その前提として予備的なモデルの構築を行った.情報の不完備性が存在することを前提とするために,モデル分析の手段として不完備(imcomplete)情報ゲームを用いる.プレーヤーとして独占禁止法の適用の可否を決める主体(例えば,公正取引委員会)と2,3の企業を考える.このとき,企業は強い競争力を有するジャイアント(Giant)企業と弱い競争力しか持たない小さな(Fringe)企業からなる.前者は大きな市場シェアを有し,後者は小さなそれを有する.まず,企業は研究開発(R&D)投資を行う.これはその企業の生産コストの削減を可能にする.その後,クールノー的数量競争を展開する.R&D投資の結果,G企業が生産物市場でより優位に立つとき,公正取引委員会によって独占禁止法が適用される可能性が高まる。そして,もしそれが適用されるならば,G企業はR&D投資の結果をすべてF企業に開放しなければならなくなるものと想定する.なおそれが適用されるか否かについてG企業はある信念を持ち,そのもとでR&D投資を実行する. このような場合,G企業の産出量とR&Dの両戦略は明らかに独禁法の存在によって強く影響される.特に,その企業の市場シェアが大きくなるに従ってその制約は強く働くものと思われる.そして産出量拡大そしてR&D投資拡大のインセンティブは弱くなる.
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