1998 Fiscal Year Annual Research Report
地方財政からみた都市集積の経済性に関する実証的研究-市町村合併のための基礎的研究-
Project/Area Number |
10630046
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉村 弘 山口大学, 経済学部, 教授 (30034862)
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Keywords | 地方財政 / 市町村合併 / 広域行政 / 都市規模 / 規模の経済 / 都市集積の経済性 |
Research Abstract |
地方財政からみた最適都市規模と、市町村合併の財政面への効果について、次の新たな知見を得た。 1.市町村の職員数、人件費、諸歳出費目等について、対数表示の人口当たり諸歳出(職員数)と対数表示の人口規模との間には「下に凸の2次閏数」という一般的関係ある。2.その結果、人口当たり職員数、人件費、及び歳出総額を最小にするという意味での最適都市規模は、それぞれ、人口32万人、29万人,及び22万人程度である。3.市町村合併の歳出面からの効果として、全国341広域市町村圏に属する全市町村が圏域毎に合併した場合の推計費用節減は、職員数で12万3000人(平成6年度実績の18.2%)、人件費で年間7899億円(同14.2%)、歳出総額で年間3兆7000億円(同12.9%)である。4.また、歳入のうち自主財源(地方税等)については、対数表示の人口当たり自主財源は対数表示の人口規模に対して「右上がりの3次関数」の関係があり、他方、依存財源(地方交付税等)については、対数表示の人口当たり依存財源は対数表示の人口規模に対して「下に凸の2次関数」の関係がある。5.その結果、自主財源については、人口当たり自主財源を最大にするという意味での最適都市規模は不確定であり、また、依存財源については、国庫支出金のような「一般的な依存財源」では、人口当たり依存財源の最小化という意味での最適都市規模は人口16〜26万人であり、地方交付税等の「高度な依存財源」では、人口当たり依存財源の最小値は現存する市の人口規模においては存在せず、実質上不確定である。6.太宗として、財政の観点からみた最適都市規模は概ね人口30万人弱である。これより小さい都市規模では規模の経済が働き、大きい都市規模では規模の不経済が作用する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 吉村弘: "市区町村の人口規模と人件費" 計画行政(計画行政学会). 21・2. 79-86 (1998)
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[Publications] 吉村弘: "歳出からみた最適都市規模" 山口経済学雑誌(山口大学). 46・4. 1-26 (1998)
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[Publications] 吉村弘: "都市の人口規模と歳入" 山口経済学雑誌(山口大学). 46・5. 1-18 (1998)
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[Publications] 吉村弘: "市町村合併の財政への効果" 山口経済学雑誌(山口大学). 46・6. 1-32 (1998)