1999 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県の「全県自由貿易地域構想」ならびに「国際都市形成構想」の研究
Project/Area Number |
10630049
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松田 賀孝 琉球大学, 法文学部, 教授 (80044832)
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Keywords | 沖縄県自由貿易地域構想 / マーカンティリズム / 古典的自由貿易論 / 古典的保護貿易論 / 穀物法(Corn Law) / 新自由貿易論 / 新保護貿易論 / グローバリゼイション |
Research Abstract |
本研究は、『戦後沖縄社会経済史研究』(東京大学出版会)および8〜9年度科学研究費補助金研究成果報告書『本土復帰後の沖縄社会経済構造の研究-類似5県との比較分析-』の成果を踏まえ、かつ国際化・自由化が激しい勢いで進展している今日の状況に対応すべく、広く国際的な視野に立った地域経済論の確立を企図している。そのためには、イギリスで勃興した古典的な貿易論争にまで遡って所説を概観し、今日的議論を多角的に吟味した上で、沖縄自由貿易地域構想の実現可能性について検討することになる。すでにTh.Munに代表されるマーカンティリズムの保護貿易論を厳しく批判するA.スミスの自由貿易論と、F.リストを領袖とするドイツ歴史学派の保護貿易論の分析検討を終え、古典的な自由貿易論と古典的な保護貿易論の比較検討に駒を進め、Corn Lawの存廃をめぐるリカード=マルサス論争の評価に着手しているところであるが、これを了え次第、さらにJ.R.Hicks,M.Friedman,M.Kraus,P.R.Krugman等の「新自由貿易論 the new free trade」と、G.Myrdal,R.L.Kuttner,R.Reich等の「新保護貿易論 the new protectionism」の両者の所論の吟味に入り、包括的な比較検討を行なった上で、地球規模で展開する世界経済の未来像を展望できる視座を形成し、グローバリゼイションの中で沖縄経済の活路をどこに求めたらよいかという、実践的課題に答えを見い出すことに努めたい。入手した必要な外国文献資料のテーマ別概要記載ノートおよび事項別カードの作成分類を了え、また沖縄経済に関する基本的な文献資料の収集および統計資料のデータ分析に着手しており、研究に必要な条件もかなり整備されているのであるが、別紙「研究経過報告書」に記載の通り、『民主主義とマルクス主義』(御茶ノ水書房刊、A5判、500貢余)の出版と重なったため、研究成果の取りまとめに至らなかったことを陳謝したい。
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