2000 Fiscal Year Annual Research Report
社会政策の見地からみた企業の福利厚生制度と団体定期保険の研究
Project/Area Number |
10630052
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
本間 照光 青山学院大学, 経済学部, 教授 (10219248)
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Keywords | 社会政策 / 福利厚生制度 / 団体定期保険 / 団体生命保険 / 生命保険 / 保険 / 労使関係 / 企業 |
Research Abstract |
昨年度は、団体定期保険保険約款の研究によって、日本における1934年の団体保険創始時から1970年代半ばまで、保険約款上も保険金の「企業受取り禁止」が明らかであったこと、したがって、団体保険の本旨が遺族保障にあることを確認した。本年度は、その研究成果に立脚して、団体保険問題の背後にある日本商法100年にわたる「他人の生命の保険契約」の系譜を跡づけた。 その結果、「他人の生命の保険契約」における「同意主義」の形骸化の淵源を確認することができた。今日の通説的理解では、同意主義のもとでは「被保険利益」の存在が不要とされている。ところが、この理解とは大きく異なり、日本においても「他人の生命の保険契約」の全般を通びて利益主義の考え方が貫ぬかれ、90年前に採用され現在に続く「同意主義」の立法例においても同様であることが明らかとなった。これは、社会保障政策への私的保険の活用にあたっても、社会的基準としての重要性をもっているものと考えられる。
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