2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国近代江南の地主-小作関係の実態と変化に関する数量的分析
Project/Area Number |
10630068
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
夏井 春喜 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 教授 (80155978)
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Keywords | 江南 / 租桟 / 魚鱗冊 |
Research Abstract |
本研究計画は、日本の研究機関に所蔵されている租桟関係簿冊・魚鱗冊・土地関係契約文書と、実態調査報告書、新聞雑誌、文史資料等の文献資料を比較・対照し、数量的分析を行い、近代江南の小作関係の実態と変化を考察するものである。計画最終年度の平成十二年度は、新しい文書資料調査では、中国蘇州博物館及び蘇州市档案館を訪問し、所蔵されている租桟・魚鱗冊等の地主文書資料及びそれに関する文献を調査を行ったが、複写による収集は認められず、時間の関係で一部を筆写したに止まった。今後再訪問する必要がある。日本国内では、主に筑波大学所蔵の旧東亜研究所第六調査委員会の未整理の文書資料について調査を行った。冊子となった光緒新政時期の調査録から執照類まで多様な文書が残されているが、土地契約文書では浙江(杭州・紹興・海寧・嘉興等)、山西省霊石、直隷通州・北京等の3地のものが残存しており、目録・解題を付けて、他の所蔵文書との関係等を調査することが今後の課題となる。収集した資料の整理・分析においては、昨年度収集したアメリカハーバード大学燕京図書館収蔵の租桟関係簿冊及び魚鱗冊について、主要データの入力を行い研究報告の一部として紹介する予定である。この文書資料は日本の大学・研究機関で収蔵されている簿冊資料と関係が深く、今後比較対照することによって新たな知見が生まれると思われる。また、これまでの江南の地主文書資料(租桟簿冊、魚鱗冊、土地契約文書)研究のまとめとして、太平天国前の19世紀半ばから1930年代の農業恐慌に至るまでの、蘇州を中心とする江南の収租関係の変化について、これまでの論文を基にして新たな資料や知見を加えて、来年度に発表予定である。
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