2000 Fiscal Year Annual Research Report
日・米・英企業の目標と行動様式:1955-90年-グレンジト-およびゲーム・モテルによる分析-
Project/Area Number |
10630070
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Research Institution | HITOTSUBASHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 良隆 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (50004198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 規矩 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50004205)
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Keywords | 企業の行動様式 / 企業の目標 / 現代企業 / イギリス大企業 / アメリカ大企業 / 日本大企業 |
Research Abstract |
(1)今年度は継続中の課題のうち、各国企業の目標に関して、各ステイクホウルダーが自己の効果を追求するという仮定のほか、他のステイクホウルダーにゆずるばあい、相互に協力するばあいなどを想定し、ゲーム論的枠組と変数の値との適合性について検討した。このほか、以下のようにこれまでの取りまとめを行った。 (2)日本、アメリカ、イギリスの金融機関を除く上位100社(付加価値-アメリカについては上位500社から系統的に選ばれた100社)を、1970年度についてリストし、サンプル企業とした。これら300社に関して、企業の行動様式や、株主、経営者、従業員の各ステイクホウルダーの目標を表わす変数(各2組)、すなわち株価時価総額、経常利益、純資産、売上、内部留保、賃金支払総額、一人当り賃金を、1955-90年の各年度についてデータベース化した。 (3)上記変数のうち、1970年を基準として中長期的にどれが相対的に増大したかについて国ごとに解析し、各国企業の行動様式の違いを解明した。通常、記述的な議論で言われているものとは違う結果が得られた。 (4)変数のうち、各国ごとに標準偏差の大きなものが企業の目標である、という仮定を立て、回帰分析を行った。この仮定の不十分さを補うために、上記変数が、株主、経営者、従業員の各ステイクホウルダーについて2つずつ取られていることに注目し、両者について同じ傾向が見られるかどうかを確かめた。得られた結果は、記述的な議論や常識で想定されているものとは大きく異なった。 (5)行動様式を固定すれば、目標は原因と考えられるとの暫定的仮定のもとに、検出された目標が行動様式に現実に影響を及ぼしていたかどうか、目標が行動様式の原因となっていたかどうかを、偏相関分析によって解明した。現実に影響力のあった目標と、現実とは関係のない目標を区別した。 (6)目標と行動様式を偏相関によって確定するという上記の方法は、時系列的に結果のほうが原因よりも先に現れるというパラドックスを排除できないため、300社のうちから完全なデータの得られる各国36社をとって、1955-90年の各年度の諸変数値に基づく定常時系列データについて、グレンジャー因果性によるテストを繰り返し、目標→行動様式を検証した。
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