1999 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀における中国の農業の近代化と農業生産構造の特質
Project/Area Number |
10630071
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
弁納 才一 金沢大学, 経済学部, 助教授 (90272939)
|
Keywords | 構造 / 連続性 / 転換 / 農村地域社会 / 近代化 |
Research Abstract |
今年度も、東京(国立国会図書館分館東洋文庫、東京大学東洋文化研究所、一橋大学経済研究図書室)や京都(京都大学人文科学研究所、京都大学経済学部図書室)において資料収集を行ったが、特に中国の貿易統計(China,the Maritime Customs :Trade of China)をほぼ網羅的に閲覧・収集できたことは、資料収集上の今年度の1つの特長となっている。また、1999年11月に上海社会科学院経済研究所の研究者と学術的な交流(レヴューを含む)が実現できたことで、上海・江南地域の社会経済的分析を一層深化できた。 以上のような作業を経て、研究成果は着実に蓄積されている。個別論文の学会誌などへの投稿・掲載はなかったが、その具体的な成果は主に以下の2つの報告に表れている。すなわち、2000年1月21日に京都大学人文科学研究所主催の研究会において「構造化された近代蘇北農村の復権-米生産と農村経済構造の分析を通して」をテーマとして報告した。また、2000年3月19日には中国現代史研究会(神戸にて)において「近代中国における振興農村手工業」をテーマとして報告する予定である。上記の2つの報告の内容は、近代中国農村社会経済を総合的かつ複合的に分析する上で欠くことのできない検討対象であったにもかかわらず、ほとんど扱われなかったものである。このうち、特に後者の報告は、上に掲げた中国の貿易統計を基礎的なデータとして利用し、在来の手織綿布業(土布業)に代わって20世紀初頭に新たに起こった農村手工業(レース、靴下、タオル、草帽など)の数量的な重要性とその動向を確定している。
|