1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業システムの20世紀史;企業金融・コ-ポレ-トガバナンス・内部組織構造
Project/Area Number |
10630082
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮島 英昭 早稲田大学, 商学部, 教授 (60182028)
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Keywords | 企業金融 / コーポレート・カーバナンス / 設備投資 / 負債選択 / 所有構造 / メイン・バンクシステム / 企業集団 / 企業パフォーマンス |
Research Abstract |
本研究の課題は、これまで申請者が蓄積してきた研究を前提に、20世紀初頭から現在という比較的長期のスパンをとって、日本型企業システムの形成、展開、変容のプロセスを追跡する点にあった。本年の行なった主要な作業とその実績は以下の通り。 1)金融自由化、規制緩和以降の企業の負債選択を、我国企業の制度的特性を考慮した独自のモデルを通じて分析した。この時期企業は、期待収益(将来収益とデフォルトリスク)にしたがって負債を選択していたこと、この関係をメインバンクシステムが増幅していること、そのことは銀行にとって顧客プールの悪化を意味することが、その主要な結論であった。この成果のうち、理論部分は本年度公刊し、実証部分は、日本経済学会で報告の後、ワーキング・ペーパー(WP)として公表した。現在、英文のジャーナルに投稿準備中である。 2)1955-1990年代という比較的長期間に関して、銀行・企業の役員派遣と企業パフォーマンスとの関係を分析した。少なくとも、1980年代までは、銀行・企業の役員派遣は経営の規律者として機能していたこと、但し、その改善効果はドラスチックではないこと、1990年代には変化が生じていることが、主要な発見である。この分析は、日本経営史学会全国大会で報告した後、WPとして公表し、現在適当な邦文のジャーナルに投稿準備中である。 3)戦後復興期と呼ばれる、1950年代前半の企業行動を、『本邦事業分析』(三菱総合研究所)を利用して独自のデータベースを作成を前提に、資産再評価と利益金処分、戦後改革のインパクトと負債構成、資金調達と投資行動、金融・投資行動に対する生産物市場の影響等の諸点につき分析を試みた。この成果は、『証券経済』で既に発表された。また、今年度は、その成果の拡張として1950・60年代の投資関数の推計を試みた。その英文ドラフトは、統計研究会コンファランスで発表されるとともに、英文のWPとして公表した。 4)本年度は、1980年代以降の企業の設備投資・R&D支出と資本構成・コーポレート・ガヴァナンスの関係の分析にも取り組み、暫定的な推計結果を得た。2000年度もデータを拡充し、分析を進める予定である。 5)上記の作業と並行して、2000年度中に刊行予定の単著(仮題『日本の経済制度・産業政策・経済成長』に取り組んだ。これまでの本助成を得て進めてきた分析の取り纏めの試みである。
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[Publications] 宮島英昭: "企業の負債選択とメインバンクの役割"21世紀の金融諸問題 早稲田大学出版会. 125-149 (1999)
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[Publications] 宮島英昭: "日本企業システム形成の1側面:1950年代前半の資産再評価問題を中心にして"証券経済研究. 19. 45-75 (1999)
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[Publications] 宮島英昭: "日本企業システムの形成と変容:外部役員派遣と企業パフォ-マンスの関係を中心にして"大蔵省財政金融研究所、Discussion Paperseries. 99-A-03. 1-31 (1999)
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[Publications] Hideaki Miyajima: "Trasformation of Economic System:A Peappraisal of Occupation"Workingpaper The Institute For Reserch in Business Administration,Waseda University. 99-02. 38 (1999)
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[Publications] Hideaki Miyajima: "Relational Banking,Less Market for Corporate Control,and Debt Choice Evidence from the Liberalization in Japan"早稲田大学現代政治経済研究所 ワ-キングペ-パ-. 9905. 1-30 (1999)