1998 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場の高齢化と経済成長に関する理論的・実証的分析
Project/Area Number |
10630091
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
櫻川 昌哉 名古屋市立大学, 経済学部, 助教授 (90244574)
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Keywords | 労働市場の高齢化 / 人口成長率 / 経済成長率 / 少子化 |
Research Abstract |
今年度は、(1)少子化、人口成長率、労働市場の高齢化が、どのようなルートで長期的な経済成長率に影響しているかを理論的に分析する枠組みを構築する、(2)構築されたモデルがどの程度頑健なものかを調べるために、世界各国の出生率、人口成長率、経済成長率、及び高齢者就業の現実のデータを用いて、回帰分析による検定を行う、(3)日本の現実のデータを使って、将来の少子化の経済成長率へ及ぼす影響を、シミュレーション分析で予測してみる、という3点の研究を行った。(1)と(2)に関しては、1本の論文としてまとめ、3カ所でセミナー発表をおこない(日本経済学会(立命館大学)、神戸商科大学、大阪市立大学)、 海外の有力雑誌に投稿できる段階にまで論文としてできあがった。(1)に関しては、我々の考えた理論モデルの仮定がどのくらい"plausible"であるかを何度も検討し、我々の主な主張である、労働市場の高齢化が、経済成長に不利に働く、という命題が、最初考えていたよりも、きわめて弱い制約の設定の中で成立することを発見できたことが、大きな収穫であった。労働市場での若年労働者と高齢労働者の関係いかんにかかわらず、労働市場の高齢化が、経済成長に不利に働くことを発見できた。(2)に関しては、理論モデルから得られた経済的インプリケーションを、各国データを使った実証分析を行ったのであるが、我々の主張が、先進国だけにとどまらず、発展途上国についても応用可能性があるという検定結果をえた。(3)に関しては現在進行中である。日本の現実の経済データを用いて、将来予測を試みている。特に、少子化の影響による将来の労働市場の高齢化の進行が、何%の経済成長率の下落をもたらすのかを、計算している。現在研究途上であるが、かなりの大きな値になる見通しが得られたところである。
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