1999 Fiscal Year Annual Research Report
費用負担ルールと環境ビジネス創出の条件に関する商学的研究
Project/Area Number |
10630097
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
栗原 史郎 一橋大学, 商学部, 教授 (80262385)
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Keywords | 環境コスト / 環境ビジネス / 太陽光発電 / 太陽熱温水器 / 風力発電 / ハイブリッド自動車 / コージェネレーション / ごみ固形燃料化発電 |
Research Abstract |
環境に関する根本問題のひとつは環境負荷の低い技術や商品の市場導入を促進し広く社会的な普及を図ることである。しかし現実には、そうした技術はありながら普及には進まないケースがほとんどである。その理由としては、競合品と比べて機能や品質の面では劣り、しかもコストが高いために市場競争力が弱いことがあげられる。新エネルギーやリサイクルの導入促進には、こうした環境コストをどのようなルールで誰が負担するのかについての社会的仕組みを形成することが必要である。本研究の目的は、商学の視点から環境ビジネスの事業化に関して個別事例を調査し、環境産業の創出条件を明確化することである。 平成10年度は、環境ビジネスの個別事例として地球温暖化問題にかかわる新エネルギー、省エネルギーの個別事例を取り上げ価格競争力が具体的にどの程度劣るのかを数量的に明らかにした。すなわち、太陽光発電、太陽熱温水器、風力発電、ハイブリッド自動車、コージェネレーション、ごみ固形燃料化発電、省エネルギーサービス事業を事例として取り上げ資本費、燃料費について金利や耐用年数を適宜想定して概算値を計算し、どの程度価格競争が実際の競合品と比べて劣るのかを明らかにした。 平成11年度は、前年度の経済性の試算に基づき、各種環境ビジネスを費用負担のルールの相違によって類型化を行った。その類型は(1)市場原理型(2)応責原理型(廃棄物に対する管理責任を持つ自治体が環境コストを支払うことによって、より社会的コストの低いシステムの普及を図る)(3)市民負担型(自己負担を補償するために市民全体で共同負担を行う)の3つが挙げられる。 特に、コストが従来型のものと比べてかなり割高となる太陽光発電、太陽熱温水器、電気自動車については(1)の型ではなく(3)の型によって導入初期の有効需要を喚起することが有効である。応益原理に立脚して、市民が環境コストを分担するルールは商品価格に環境コストを上乗せすることによって可能である。これらの諸原理を適切に使い分けて、制度や社会システムの設計を行うことが、これからの環境ビジネスの創出にとって必要である。
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Research Products
(1 results)