1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630111
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
延岡 健太郎 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (90263409)
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Keywords | CAD / 製品開発 / 組織構造 |
Research Abstract |
2年間の本研究における平成10年度の目的は、CAD利用の動向と問題点を主に企業インタビュー調査で明らかにすることであった。以下に、発見事実をまとめた。 1 CAD利用の動向:新世代CADの出現:製品開発にとってCADは15年以上も前から不可欠なものとなり、ほとんどの製造企業ですでに活用されてきた。しかし現在、CAD技術およびその活用方法が著しく変化し、製品開発のあり方を根本的に変革しつつある。製品開発に活用されるCAD技術の主体が2次元から3次元ソリッドへ変わりつつある。従来の2次元CADの役割は、図面を効率的に描く道具としてのものであった。しかし、3次元ソリッドCADは新しい役割をもち、開発設計のタスクを変革する。新しい役割を可能にする機能としては次の3点が主なものである。第一に、設計者は完全形状を設計することができる。第2に、デジタルモックアップによって、設計段階から製品全体の整合性をチェックすることができる。第3に、設計データを比較的容易にシミュレーションや解析に利用できる。 2 新世代CAD導入の問題点:新世代3D-CADの日本企業での導入は必ずしもスムーズとは言えない。企業インタビューによって、3点の問題点が明らかになった。第1に、主要新世代CADベンダーがすべて欧米企業である。一度、特定の新世代を導入してしまうと変更することは難しい。しかもばく大な投資が必要とされる。大きな意思決定にもかかわらず微妙な調整が十分にできないていない。第2に、新世代CADの効果的な活用には組織構造・プロセスの革新と,これまでとは異なった役割分担の構造が必要である。何十年も続いた設計者、生産技術者、解析技術者の間の組織構造や役割分担を変革し、製品開発プロセスを組み替えることは難しい。第3に、これらの機能担当者はこれまでにないスキルを習得する必要がある。このような組織的な変革を実施できなければ、新世代のCADを最大限に活用することはできない。
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[Publications] 延岡健太郎: "The Influence of New 3-D CAD Systems on Knowledge Creation in Product Development" Comparative Study of Knowledge Creation(Oxford University Press出版). (掲載予定). (1999)
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[Publications] マイケル・クスマノ: "Thinking beyond Lean" Free Press, 248 (1998)