1998 Fiscal Year Annual Research Report
エージョンシー理論と取引費用理論の組織における有効性
Project/Area Number |
10630116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡部 鐡男 九州大学, 経済学部, 教授 (10127996)
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Keywords | エージェンシー理論 / 内部組織 / 不確実性 / インセンティブ / エージェンシー・コスト / 取引費用 / シャーキング / モニタリング |
Research Abstract |
エージェンシー理論の組織における有効性について企業内外の技術的、制度的諸制約条件のもとで企業の実際の行動を理論的に解明した。プリンシパルとエージェントの二層から成る内部組織において効率的な資源配分を行うとき、意思決定システムのデザイン、外部性の処理、情報の不確実性の扱い方を考察した。強いインセンティブを与えられた組織ではエージェントの分権化や独立性が高まり組織の生産性も高まるが組織をコントロールするためのエージェンシー・コストや取引費用も高まる。エージェントを動機付けるための価格やボーナスと罰金、または割り当て等の採用による適切なインセンティブ・システムのデザインの考察を行った。また情報の非対称制と不確実性から生じるシャーキングによる組織の非効率を避けるため、企業内と企業間のエージェンシー関係を検討した。企業間では契約に欠陥が生じたり、他の当事者をだまして利益を得ようとするシャーキングの危険性が出てくる。この場合、モニタリング制度やインセンティブ・システムの採用によって組織の効率が高められることを検討した。合併の契約が行われる場合には、虚偽報告やシャーキングの危険性を大いに減らす事ができる。内部組織または企業においてもエージェントによる虚偽報告の可能性が存在するので、内部監査により機会主義をモニターすることによって組織の非効率を排除できる。プリンシパルは機会主義的行動を阻止する契約実施メカニズムを考案することができる。プリンシパルとエージェントの間に垂直的取引関係がある時、プリンシパルはエージェントに望ましいサービスを供給してもらうため、あるレントをプリンシパルからエージェントに移す事によってエージェントの成績と成果を保証するシステムがその例である。モーチベーションは取引の停止という脅威による罰によっても与えられる。
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Research Products
(1 results)