1999 Fiscal Year Annual Research Report
税務計画アプローチに基づく新しい税務会計分析のフレームワークの構築に関する研究
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10630131
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 一水 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (90235937)
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Keywords | 税務計画 / 明示されない税 / 税裁定 / 限界税率 |
Research Abstract |
今年度は、前年度の研究実績を踏まえて、以下の研究を行った。 1税務計画の理論構造を精緻化した。特に、明示されない税と税裁定の関係および限界税率の均衡過程を財務論における研究成果である顧客効果の概念を用いて理論づけた。 2確定決算主義を採用するわが国の会計制度における財務報告と課税所得計算の関係を説明し、両者の相互作用が、制度会計における経営者の裁量行動に対する歯止めを提供することを明らかにした。この結果は、現在のわが国における会計基準の国際的調和を志向した会計基準の設定・見直し論、および課税ベースの拡大を志向する税制改革の両側面において、確定決算主義の重要性を再評価する必要のあることの証拠となる。 3米国における税制の企業行動に及ぼす影響に関する先行研究をサーベイすることによって、企業行動に限界税率が深く影響することを指摘し、限界税率の概念を明らかにするとともに、わが国の税制のもとでのその態様をモデル化した。そして、経営者、税制立案者、その他の利害関係者の意思決定にとってはもとより、これらの意思決定を研究対象とする税務会計研究者にとっても限界税率の推定が重要であることを強調し、その推定方法の確立を試みた。 4平成11年度から本格的にわが国に導入される税効果会計が、将来税キャッシュ・フローの予測に役立つ情報を提供するという意味で、有効な税務計画の設定にとって非常に重要な要素となることを指摘した。
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