1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630136
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大塚 宗春 早稲田大学, 商学部, 教授 (60063749)
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Keywords | 負債と資本の区分 / 新株引受権付社債 / 転換社債 / 新株引受権 |
Research Abstract |
負債と資本の区分の問題を金融商品の会計と関わらせて研究を進めた。金融商品の中でも新株引受権付き社債や転換社債の会計でこの問題が生じる。新株引受権付き社債についていうと、新株引受権が負債か資本かが問題となる。新株引受権の発行時において新株引受権を米国では拠出資本に含めていて、新株引受権が行使されなかったときでもそのまま資本であるのに対し、英国では発行時に拠出資本に算入するのは米国と同じであるが、新株引受権が行使されなかった時には利益に振り替える処理が採られている。これに対し、我が国では発行時には仮勘定として負債に計上し、新株引受権が行使された場合には資本に、行使されなかった場合には利益に振り替える。 このような違いが生じる原因は、米国や英国では資産、負債の定義から始めて負債の定義に当てはまらないのは資本であるという論法をとっているからである。これに対し、我が国では負債の定義がなく、商法で資本と資本準備金の内容を明らかにしているので、これに該当しないので負債としている。米国、英国では、負債とは他の実体による当該実体の資産に対する請求権で将来の資産の犠牲を伴うものとされているので、新株引受権は負債の定義には該当しない。 米国、英国では、新株引受権がなぜ負債として会計処理されるのかは、単に定義に該当しないからというためだけであろうか。この背後には金融商品全般に対する会計処理、特に負債の時価評価という将来展望が垣間見られるのである。 転換社債の会計処理については、さらに株式転換権と社債償還権を区別すべきかどうかか加わり、さらに複雑であるが、両問題とも金融商品の会計全般の観点から検討した。
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